藤丸立香は彼の横顔を忍び見た。彫刻のようなその顔は、彫りは深く、眼窩はさながら挑戦者を待つ崖のようにカーブし、その奥に秘された瞳はグリーンフローライトが如くきらめいている。日差しが眩しいのか、すっと目を細めた。鼻筋はまっすぐ通り、その下にある唇は柔らかな乳白色をまとい、その滑らかさは女性を連想させるようで。
「綺麗だなあ」
立香はひとりごちた。その呟きは彼の心の中でひとつぶ誰にもに拾われずに落ちたはずだった。
「何がかね?」
宝石がこちらを向いた。日の光が反射してキラキラと輝いている。
「えっ、あっ、いや⋯⋯! 何でもないよ⋯⋯」
「先程から、それこそ、穴が開くほどこちらを見ていたようだがね?」
「ほっ、本当に、なんでも⋯⋯」
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