「サンタ帽とかかぶっちゃう?」
「あはは!あり!!」
賄いのチャーハンを掬いながらバイトの同期のゆみとクリスマスの話で盛り上がる。街はイルミネーションが施されていて陽気な音楽が鳴り響いている。もうすっかりクリスマスモードだ。悲しいことに特に予定もなくバイトのシフトを仲良くいれた私たちは少しでもクリスマスらしいことがしたくて悪あがきをしているところだ。
「お疲れ〜!なになに?クリスマスの話?」
賄いの皿をもって休憩室に入ってきたのは春原くんだった。休憩室のテーブルにお皿を置いてロッカーから荷物を取り出してゆみの横に座った。今日暇だから早上がりになったんだ、という春原くんを見て失敗したなと思った。春原くんと上がる時間が同じときはテーブルの奥に座ると春原くんのロッカーと近いから横並びになりやすいんだよね。まさかこの時間に春原くんが上がるなんて思っていなかったから今日は手前側に座っていた。私が春原くん推しなのを知っているゆみはごめんと私に目配せをしてきた。
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