雨音とキス。 外は大きな雨粒の音がする。先程までは軽い雨だったというのに、 窓を叩きつける重い雨音は窓もカーテンも通り越しばちばちと部屋に響き渡り、灯りのついていない部屋は少しずつ暗闇に包まれていき視界を奪われ、文字は読みずらいものとなっていた。
「だいぶ降ってきたな。」
リビングのソファで雑誌を眺めるルビー。その隣で本を読んでいたアクアは雨空を見上げぽつりとつぶやいた。その言葉を聞いて同じようにルビーも視線を空へ送ると眉尻をしゅんと下げる。
「えー、せっかくこの後おでかけしようと思っていたのにー。」
「出かけるって、どこに行こうと思っていたんだよ。」
「この雑誌に載っている新作ワンピ!かわいくない?!これが欲しかったのと、珍しくわたしもお兄ちゃんもオフの日だよ?こんな貴重な時間滅多にないんだからデートくらいしたかったな〜。」
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