お彼岸小話審「もうすぐお彼岸だね。お彼岸って何なんだろう」
小狐丸「仏の行事とされておりますが。不思議なことに、その伝来元の天竺にも唐国にも、彼岸の行事は無いそうですよ」
審「…え」
狐「あの世とこの世の門が開く日、とも言われますな。古来、この国には太陽を祀る祈りがあった。そして夏の太陽から冬の太陽へ。昼と夜の長さが丁度同じになる年に二回のこの日が特別とされたのです」
審「あの世と…この世の門が開く…?」
狐「あの世とこの世の境界は存外身近なものです。それは普段通る橋であったり辻であったり。これは場所によるものですが、時に由来するのが彼岸であると言えます」
審「…彼岸の日は、何が起こるの」
狐「何も起こりませぬよ、ぬし様。いつも通りふるまって、おはぎをお供えすればいいのです。先祖供養の日ですから、参るお墓があるのならば行くと良いでしょう」
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