「ねぇKKのおじいさんってどんな人だったの?」「どうした、急に…ってあぁ」
暁人の手の中には今しがた河童から引き抜いた勾玉が握られている。「河童を一緒に捕まえたって前に言ってたよね」
「とにかく妖怪に詳しい爺さんでな…ありゃあたぶん適合者だ」
適合者。見えざるものが視える人。つまりKKの能力は遺伝ってことか。
「一度だけ田舎の祭りに連れていってもらったことがあってな…そんとき言われたんだよ、今日は手を振ってる人がいてもそっちには行くな、それだけは守れ…って」「向こうの人が見えてたってことかな」「…多分な」
そんな会話をしながら家路に着く。
夕飯時テレビを眺めていたKKがあっと声を上げる。つられて見てみるとどうも例の「祭り」が今は無形文化財に登録されているのだの、地元の保存会がどうだのと紹介されている。そして再来週の開催に向けて準備が進んでいることも。
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