嗚咽 奴のどことなく飄々とした態度が気に食わない。いや、正確には俺たちに対してだけ飄々としていると言うべきか。見下しているとも違う、だが小馬鹿にしている。リッカに対してやけに親切なことも癪に障る。オマケに断れないよう言葉巧みに誘い出すものだから心底腹が立つ。
「で、文句言いにきたの?」
「悪いか」
「ハハッ、変なところで頭回んねえなお前」
こちらには目も合わせず電子媒体の資料を忙しなく眺めている。まさかリッカも呼びつけておいて無為な時間を強いらせているんじゃないか。ああ今すぐそのツラぶん殴りたい。安い挑発なら乗るだろう。
「勝手に仕事部屋に侵入しておいてもてなせるとでも?」
「抜き打ちチェックだ、リッカが話を盛ってないかどうかの、な。残念だったなぁ、こんな奴に気を遣ってたんだなぁ、可哀想に」
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