どんなお前でも「幻太郎!銭湯行かね?」
「嫌です。」
「またかよ...いいだろーたまには裸の付き合いもよー...」
「帝統...実は麿には若気の至りの刺青があるので、入りたくても入れないのでありんす...」
「まぢかよ!?...ってどーせお得意の嘘だろ?もう騙されねーかんな!」
「はぁ...とにかく小生は銭湯には行きません。」
ーなんであんな頑なに拒否するんだ?あれか?身体が貧相だから、見られるのが恥ずかしいってやつか?幻太郎にも可愛いとこがあんだな笑ー
「幻太郎ー!風呂上がったぞー」
「はぁ...」
「おい、大丈夫か?徹夜明けで疲れてるから、今日は風呂に浸かってゆっくり休めよ?」
「んー...家の風呂は狭くてちゃんと浸かれないんですよね...」
だから、銭湯誘ってんじゃねーか!
「なぁ幻太郎、やっぱ銭湯行こうぜ?その方がちゃんと浸かれるし...あ、あと俺は別に気にしねぇからな!お前の身体が貧相でも、別に笑ったりしな...」
「...」
やべ...幻太郎がすっげぇ冷たい目で見てる...そんなに気にしてたのかよ…
「ご、ごめ」
「もういいです。」
ピシャ(扉を閉める音)
あぁ...やってしまった
それから俺と幻太郎は生活スタイルは前とは変わらないけど、一切話をしなくなった。正確にいえば、俺が避けられているのだが...話しかけても直ぐにどこかへ行ってしまう。
「...なぁ、幻太郎...」
「...」
ピシャ
今日も黙りかよ...
「...くっ痛!...」
幻太郎!?何かあったのか!?脱衣場の方から声がする...
「おい!幻太郎!大丈夫か?」
ガラガラ(扉をあける音)
「...」
「...」
そこには俺の想像を超えた幻太郎の姿があった。確かに体つきは少しひょろっとしている男の身体だが、胸には女性のような乳房がある。幻太郎はその乳房をサラシでまいているところだった。
「...幻太郎...は...女...なのか...?」
「...帝統...貴方にはいつかお話しなければならない時が来ると思っていました…」
「両性...具有?」
「はい。小生は両性具有なのです。簡単に言えば、男性の性と女性の性の両方を持っているということです。」
「...ということは、ちんこは?」
「付いています。」
「でも、両方の性を持っているから...」
「ええ。なので小生には、女性の性器である膣もあります。」
「そうなのか...」
「軽蔑するでしょ...」
「...え?」
「...こんなよく分からない身体、気味が悪いでしょう。昔からよく、忌み子と呼ばれたものです。もう、こんな身体の小生を友達として見れないでしょう?だから、もうこれで...」
「幻太郎、俺は言ったはずだぜ?お前の身体がどうだって気にしねーって。それにそれだけでダチやめるとか、俺らの仲はそんなもんだったのか?」
「...でも帝統、小生の身体では貴方が行きたがっていた銭湯へも行けない...」
「別に俺銭湯好きじゃねーよ!俺は、お前が最近徹夜続きで疲れてるから、ゆっくり休んで欲しかったんだよ!風呂くらい行けなくたってどーって事ねー!肩もみぐらいなら、俺にも出来る。」
「帝統...ありがとうございます。では、お言葉に甘えて肩もみをお願いします。」
「おう、任せろ!」