あかね噺
umeno0420
DONE[どっかの時空(お互い30歳過ぎくらい?)で寄席の場をポケモンバトルだと勘違いしているペースと距離感と荒らし方で全国漫遊しながら噺をかけるふたりの話]ここは花道、また来て奈落冗談のように美しいおとこだと思った。どこかでズルでもしているみたいに。
初めて会ったとき、ほんの一瞬だけそう考えたことを思い出す。あっという間に覆された第一印象だったから、今まですっかり忘れていた。忘れていたから、目を奪われてしまった。だから私は、壁に貼りたくられたポスターをただ見つめる。
写真の中でゆらりと微笑む彼は、すっかり一般名詞として膾炙された顔をしていた。印刷されているからだろうか。切り上がった目尻だって、人に害のないようすっかりやすり掛けされて見える。春の訪れを囁く淡い髪色に、濤乱刃の虹彩。脱色された皮膚の上で、持ち上げられた唇の端にだけ赤が滲んだ。赤だ。その色はほんの少しだけ意識をささくれ立たせるけれど、それだけ。殺傷能力なんてとんでもない。
1867初めて会ったとき、ほんの一瞬だけそう考えたことを思い出す。あっという間に覆された第一印象だったから、今まですっかり忘れていた。忘れていたから、目を奪われてしまった。だから私は、壁に貼りたくられたポスターをただ見つめる。
写真の中でゆらりと微笑む彼は、すっかり一般名詞として膾炙された顔をしていた。印刷されているからだろうか。切り上がった目尻だって、人に害のないようすっかりやすり掛けされて見える。春の訪れを囁く淡い髪色に、濤乱刃の虹彩。脱色された皮膚の上で、持ち上げられた唇の端にだけ赤が滲んだ。赤だ。その色はほんの少しだけ意識をささくれ立たせるけれど、それだけ。殺傷能力なんてとんでもない。