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    かえる

    nabe

    MOURNING原作小説5巻・コミカライズ60~61話後あたりの幕間捏造妄想はなはだしいSS。初期テーマはワンドロ「丑三つ時に揺れる小夜啼鳥」
    シャスの行動と感情、原作小説で明記されてるのが、駆け寄り、抱きかかえる→生きていられるとは思えない→青ざめ→助かるかもしれない…で。その間の感情の動きは推察する事しかできないわけですが…ポイピクはキャンプションに書ける寝言の文字数が少ないので後日ピクシブにも上げます…
    【シュレディンガーの恋】
     


     聖騎士たちの手当てを終え、疲れはてた様子のネフテロスを仮眠室まで送り届けたシャスティルは、一人執務室へと舞い戻る。
     扉を開けば、無人の室内は墨を流したような闇に沈んでいた。
     
     深夜。
     
     灯した明かりに白々と浮かび上がる床には、一面の血痕も、ソファの残骸も既にない。
     すべて元どおり。
     襲撃の名残りを感じさせないその様子に、先刻の出来事は、悪い夢だったのではないかと、一瞬馬鹿な錯覚が湧くが、そんな筈もない。
     馴染んだ部屋は、今はどこかしらシャスティルによそよそしかった。
     
     理由はわかっている。
     まだヒヤリと腹の底にわだかまる、冷えた鉛のような感情の正体は恐怖だ。
     侵入者は跡形もなく姿を消し、その後の足取りはつかめていない。
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    豚野郎

    MOURNING・羂髙
    ・モブから少年を人質に取られて誘拐された髙羽が羂のところにかえる話
    ・髙羽がモブに凌辱された後の話なので100%明るい話ではないです

    ・当初のアレは終わったのですがもうちょっとだけ続く予定です
    不離一体 扉を閉めて、後ろ手に鍵を掛ける。本来ならば呪術で封印を施してやりたいところだが、私にそれは許されていない。私はピンチャンの羂索。それ以上でも、それ以下でもない、それで――それが良いと彼の手を取った、運命を選び取ったのだ。

    「髙羽」

     呪符が壁紙のようにびっしりと貼られた、窓のない部屋。中央に置かれた簡易的なベッドに、私の運命はいた。
     名を呼ぶ暇も惜しく早足に歩み寄れば、髙羽が目を閉じていた。朝に薄目で後ろ姿を見た着古した高校ジャージではない。白い甚平、患者衣と言うべきそれは”治療”を受けるにあたって着替えさせられたのだろう。

     隅から隅まで傷の有無を確認することは間違っていない。また、記憶は物にも宿る。嬲られる最中と同じ格好は苦痛を思い出す材料になってしまう可能性が高い。被害者の保護として妥当な判断で、だから、私に湧き上がる感情、何もかもへの殺意は抑え込むべき感情だ。長く息を吐いて、永く生きる中で作り慣れた笑みを顔に貼り付ける。
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