イタチごっこ
poidf
DONE常勝神話第三章:いたちごっこ
第四話:タイム・ラグ指揮官
3-4 タイム・ラグ指揮官海の凪いだとある月夜。
港近くの積荷置き場に、ウロボロスがちょこんと座っている。目の前に広がるティミ諸島のスチル街は、異様な静寂に包まれていた。寝静まるにはまだ早い気もするが、物音どころか民家の明かり一つも見当たらない。
ゆるりと動く尾は焦げてざらついた石畳を撫でつけ、どこからか湧く羽虫を払う。冷たい月の光を受けて、竜の鱗はしっとりとした薄青色を纏っているが、しかし月明かりの下から外れたならば、その姿は闇に同化するだろう。艶消しされた鱗の表面が余分な光の反射を抑え、景色に溶け込むのである。
「…。」
資材置き場は瓦礫だらけだ。
乱立しているはずの工場はどこにも見当たらず、辛うじて警備塔か灯台らしき物の基礎が残るだけ。あちらこちらには人丈程はあろう、先の尖った石柱が規則性なく生えていて、地面も民家も積荷も貫いている。瓦礫の奥からは血の焼け焦げた匂いが漂い、側に倒れている人間らしき塊は黒焦げとなってプスプスと煙を吐いていた。
4532港近くの積荷置き場に、ウロボロスがちょこんと座っている。目の前に広がるティミ諸島のスチル街は、異様な静寂に包まれていた。寝静まるにはまだ早い気もするが、物音どころか民家の明かり一つも見当たらない。
ゆるりと動く尾は焦げてざらついた石畳を撫でつけ、どこからか湧く羽虫を払う。冷たい月の光を受けて、竜の鱗はしっとりとした薄青色を纏っているが、しかし月明かりの下から外れたならば、その姿は闇に同化するだろう。艶消しされた鱗の表面が余分な光の反射を抑え、景色に溶け込むのである。
「…。」
資材置き場は瓦礫だらけだ。
乱立しているはずの工場はどこにも見当たらず、辛うじて警備塔か灯台らしき物の基礎が残るだけ。あちらこちらには人丈程はあろう、先の尖った石柱が規則性なく生えていて、地面も民家も積荷も貫いている。瓦礫の奥からは血の焼け焦げた匂いが漂い、側に倒れている人間らしき塊は黒焦げとなってプスプスと煙を吐いていた。