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    エヴァ

    こえ🏔

    PROGRESSエヴァとチレッタ
    5月に出す本の冒頭部分(仮)です
    Queen of Solitude 一面の銀世界、そう言えば美しい。だが北の国の自然は、万物に牙を剝く獣のごとく凶暴であった。
     真っ白な雪が、一年のほとんどを通して大地を覆い尽くしている。この国は、春と秋を知らない。雪の下に眠っていた青い草が、わずかに太陽の光を見る短い夏が終われば、すぐにまた冬が襲ってくる。分厚い雲が垂れ込めて空が白く煙り、冷たい風が吹き荒ぶと、人々はふたたび永遠のように長い冬が訪れたことを知る。はらはらと舞っていた雪は、いつの間にか勢いを増し、際限なく大地に降り積もる。草も花も、山も村も等しく白に覆い隠され、しずかに冷たい凍雪のなかへ埋もれていく。
     ただ、北の国の雪は深々と降り積もるだけではない。次第に威力を増していく強い風に雪が乗り、吹雪となって一帯を襲う。吹雪は、この国でもっとも恐れられているもののひとつだ。それなのに、北の国では一年のうちで吹雪の日がもっとも多い。すでに堆く雪が積もった真っ白で冷たい大地に、激しく氷の粒が吹きつけるさまは、暴力的と形容するに相応しい。風の音は、まるで猛獣の咆哮のようだ。吹雪は、あらゆるものの命を奪っていく。人間にも、魔法使いにも、等しく猛威を振るうのだ。そんな国で、人がひとりで生きていくことはできない。魔法使いの庇護のもと、彼らの機嫌ひとつで命が失われる恐怖に怯えながら、ひっそりと暮らさなければならない。
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