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    タイムパラドックス

    お箸で摘む程度

    DONEビームス兄弟
    ナイプ24話でタイムマシンが修復せず、タイムパラドックスが起きてしまった世界線のif小説。リトル・フェイスがフェイスになり、フェイスがフェイスでなくなるまでの七日間の兄弟のお話。
    決して明るい話ではありませんが兄弟間の感情の大きさについて考えています。
    one no named 張り詰めた空気の糸を、低い溜息のような音が揺らした。ぴんと張った空間に振動は波の如く伝播して、そしてそれこそが、答えだった。鉄塊は動かなかった。溜息はきっと、それを最後に生命が尽きた音だったんだろう。博士がマシンに近づいて、扉に手を掛けると、頑丈そうに見えたのにあっけないほど簡単に開く。オスカーが小さく息を呑む。

    「お兄ちゃん、おれ、おうちに帰りたい……」

     色褪せた写真から、存在したはずの過去は消えていた。



    one no named



     この世から、俺の存在は無くなった。これを一日目とする。
     沈黙のタイムマシンから再び顔を出したリトル・フェイスは、彼こそが、この世のフェイス・ビームスだった。過去に帰るはずだった彼は、帰る家をこの世に知っていた。兄をこの世に知っていた。戸籍上、フェイス・ビームスとして、七年前の二月十四日を生年月日に記されている。二十年前の記録はもう、どこにも見当たらない。
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