王と騎士の話「いち、に、さん、し…………」
たくさんのオレンジの球体がテーブルの前へ集まって声を掛け合っている。それぞれが丸っこい手に握るのは文字や数字が印刷された紙切れのようだ。
「ご、ろく、しち、はち…………」
決まった枚数を束にして綺麗にまとめられているそれは、総枚数を数えやすくする事を前提として作られている。その束を一つ手に取り、枚数を数え終えたら束ねる帯を切り取り、袋の中へ無造作に投げ捨てていく。袋の中はバラバラになった紙切れが大量に収まっていた。
「きゅう、じゅう…………これで五十万枚ですね！」
「へぇ」
他の仲間と共に紙の数を数えていたバンダナワドルディはにっこり笑って玉座に座るデデデ大王にへ振り返った。それに対しデデデ大王は気の無い返事。

　わにゃ、わにゃ、わにゃ。
　響き渡る声は、誰の者だろう。自分のものか、つい先ほどまで近くにいた仲間たちのものか。

　新世界の空は高い。
　抜けるように青く、流れる雲の白さは輝くほど。
　太陽は暖かなこともあれば、照り付ける熱さ、痛さで肌を焼くこともある。一方で夜は恐ろしいほど静かで、寒い。
　この高い青空から、あるいは夜闇に紛れて、襲撃者はやってくる。ワドルディたちを、捕まえにやってくるのだ。
　自分たちは草間に隠れ、あるいは応戦し、さりとて勇気を出した者から順に、弱き者、賢き者、運悪き者、運良き者、木の元、草の根分けやって須らくが捕まって…。
　冷たく固い檻の中、あるいは連れ去られ空に消えていった同胞の姿に涙して。

大王様が右左（またの名をワドルディの学級会）■大王様が右左（またの名をワドルディの学級会）

ここは呆れるほど平和なプププランド、その平和な国にある自称大王様の立派なお城にある鍛錬場。
そこから普段は聞こえてこないような怒声ともいえるような複数の声が響いていた。

だっ、かっ、らぁぁぁぁぁっ！！！なんでこの尊さが理解できないかなぁ！！

はぁぁぁっ？！？！？！それはこっちのセリフなんですがっ！！そっちこそなんでddkbの素晴らしさがわからないんですか？感情ないんですか？？？

鍛錬場の真ん中で青いバンダナを着けたワドルディ（バンダナワドルディ）とスクエア型の眼鏡をかけ、腰に試験管の付いたベルトを装着しているワドルディ（調剤ちゃん）が至近距離でメンチを切りあっていた。