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    ミーム

    かに仔

    PAST某ミーム画像から連想したはじめてのイデ監♂
    (自我が強すぎる監督生くんがいる)
    「――あ、…えっと。お、起きた?君はその…随分と長い間、気絶してたんだけど。」
     僕の意識の中に割り込むような形で声をかけてきたのは…多分、先輩。名前が思い出せなくなっているのは、頭にあった情報のほとんどを失っているからなのか、これが僕らにとっての初めましてだからなのか。答え合わせをしようにも、手段も方法も捻って出るものではない。僕の喉が第一声を弾こうとする。
     ――あなたは、誰ですか。
    遮ったのは僕の体と存在する自我につけられた、唯一無二のものに対する質問。反射的に唇が音の形を発した。そこでやっと、僕は何者なのか自覚をすることができた。

    「――█、███、ゆう…」

     復唱する先輩。不規則に不安を煽るように揺らいでいた青い炎が、怪しく嬉しそうに光っている。僕の名前の音を、呪文みたいに幾度もリズムをつけて呼んでくるものだから、段々と不気味さを帯びてきたのだ。まるでこの時を待っていた、或いはもう既に何か超えてはいけないものを大きく超え、その全てを限りなく踏み荒らした挙句、最後の希望さえもたった今砕き終わったような…。
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