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    モブキャラクター

    circle_mlc

    DONE2023/04/09 TOA webオンリー「ひだまりの旋律」の展示作品です。
    ※オリジナルのモブキャラクター目線の短編小説です。
    インゴベルト私室にある幼少期ナタリアの肖像画を描いた画家が、両親に似ていない彼女を不審に思うも人柄に尊敬の念を抱いていく話です。(CP要素なし)
    ※小説やドラマCDなど未履修の作品がありますので、それらと矛盾する描写があればご容赦ください。
    この腕が支えるもの 彼女が部屋に入ってきた瞬間、空気が変わった。小声でおしゃべりをしていたメイドたちは背筋を伸ばした後、小さな少女に深々とお辞儀をする。部屋の入り口に立っている兵士も、開いた扉の隙間から敬礼している姿が見えた。この空間の主は今、この金色の髪の少女なのだ。
    「あなたが、私を描いてくださる方ですの?」
     よく通る凛とした声。真っ直ぐにこちらを見て微かに微笑んでいる。
    「その通りです、ナタリア殿下。本日はどうかよろしくお願いします」

     「私、あなたが描いたお父様とお母様の絵、大好きですわ!お父様の横顔は凛々しく、お母様は優しそうで」
     椅子に座ると、殿下は年相応の屈託のない笑顔を見せた。それでも、揃えた膝の上にきちんと手を乗せた美しい座り方で、絵を描きやすいよう気を遣っているようだ。
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