中国地方
sogomujohi
DONE七つの大罪・傲慢のマツリの昔話。中国地方の日本海側のどこかが舞台。
西からきた天狗 その風の妖精は偏西風に乗ってやってきた。
西洋で何百年も風の精として仕事をした後、他の姉妹と共に世界へ散らばっていった。風の精は金の髪をなびかせてのんびり気ままに浮かび、気に入った土地で足を止めようと考えていた。
その途中、大きな河に出た。幅が広い上に、水面は渦を巻いたりうねったり、とても危険な激流だ。何の気なしに目を落とすと、とんでもない光景を目にする。若い夫婦が、柔らかい布に包んだ何かを小さな船に乗せて流したのだ。夫婦がそそくさと立ち去ると同時に、その布からあどけない赤子の声と小さな手が伸びた。
(嘘……赤ちゃんを捨てたってこと⁉︎)
風の精は仰天して、すぐにその赤子の元へと飛んでいった。赤子を乗せた小さな船は激流に揉まれて今にもひっくり返りそうだった。風の精は思い切り腕を伸ばし、布ごと赤子を拾い上げる。小さな船は転覆し、そのまま藻屑となって消えた。
6053西洋で何百年も風の精として仕事をした後、他の姉妹と共に世界へ散らばっていった。風の精は金の髪をなびかせてのんびり気ままに浮かび、気に入った土地で足を止めようと考えていた。
その途中、大きな河に出た。幅が広い上に、水面は渦を巻いたりうねったり、とても危険な激流だ。何の気なしに目を落とすと、とんでもない光景を目にする。若い夫婦が、柔らかい布に包んだ何かを小さな船に乗せて流したのだ。夫婦がそそくさと立ち去ると同時に、その布からあどけない赤子の声と小さな手が伸びた。
(嘘……赤ちゃんを捨てたってこと⁉︎)
風の精は仰天して、すぐにその赤子の元へと飛んでいった。赤子を乗せた小さな船は激流に揉まれて今にもひっくり返りそうだった。風の精は思い切り腕を伸ばし、布ごと赤子を拾い上げる。小さな船は転覆し、そのまま藻屑となって消えた。