哥欲祟
hidari
DOODLEウタノを主人公とした現作(哥欲祟1・2)準拠の二次創作小説pixivに投稿したものです。
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=20147433
第一改変 たすけて
確かにそう聞こえた。
私は私の家族を失い、正気では無かったのかもしれない。
もし私が正気であったなら、母の遺体を見つけてすぐに警察へ向かっていただろう。
なのに私はそうしようとせず、何かに駆り立てられるように家中を探った。
1.
1997年8月20日、祖母が失踪した。
近所にある神社の掃除へ出たきり、行方が分からなくなったのである。
その日を堺に、私の家では奇妙な現象が起こり始めた。
妹のリノは「どこかから声が聞こえる」のだと言い、母は「勝手に椅子が動いた」と主張した。
私と父も天井裏からの奇妙な物音を耳にする事が度々あった。
ギシギシと軋む張りの音に、時折カカカという何かを爪で引っ掻くような音が交じる。
19461確かにそう聞こえた。
私は私の家族を失い、正気では無かったのかもしれない。
もし私が正気であったなら、母の遺体を見つけてすぐに警察へ向かっていただろう。
なのに私はそうしようとせず、何かに駆り立てられるように家中を探った。
1.
1997年8月20日、祖母が失踪した。
近所にある神社の掃除へ出たきり、行方が分からなくなったのである。
その日を堺に、私の家では奇妙な現象が起こり始めた。
妹のリノは「どこかから声が聞こえる」のだと言い、母は「勝手に椅子が動いた」と主張した。
私と父も天井裏からの奇妙な物音を耳にする事が度々あった。
ギシギシと軋む張りの音に、時折カカカという何かを爪で引っ掻くような音が交じる。
hidari
INFO哥欲祟の小説をpixivで公開しました。https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=17065764
こちらにも本文を載せておきますが、pixivタグ(改ページ等)使用のままコピペしたものなので、多分読みづらいです。
狐と犬と神と人高島博は哥欲村高島家の次男として生まれた。
まだ村が山深い未開の地であった頃、そこへ迷い込んだ修験者が高島と名乗り住み着いた事が哥欲村の始まりであるという。
その地は古来より山野家の住処であった。
「……話がおかしい?」
怪訝そうに眉を寄せた私に、ベッドに腰掛けた高島は身体を揺らし、くすくすと笑った。
1997年8月20日
山野隆士は佐藤総合病院の医師である。
彼は義母の失踪をきっかけに様子がおかしくなった娘の治療の手がかりを探るため、同僚の狭間医師の運転で新街改革病棟へと向かっていた。
新街改革病棟は既に廃院となって久しく、その場所を知る者は少ない。
「すみません、遠くまで。」
「いいんだよ。それより、当時の資料がまだ残っていれば良いんだけど。」
19592まだ村が山深い未開の地であった頃、そこへ迷い込んだ修験者が高島と名乗り住み着いた事が哥欲村の始まりであるという。
その地は古来より山野家の住処であった。
「……話がおかしい?」
怪訝そうに眉を寄せた私に、ベッドに腰掛けた高島は身体を揺らし、くすくすと笑った。
1997年8月20日
山野隆士は佐藤総合病院の医師である。
彼は義母の失踪をきっかけに様子がおかしくなった娘の治療の手がかりを探るため、同僚の狭間医師の運転で新街改革病棟へと向かっていた。
新街改革病棟は既に廃院となって久しく、その場所を知る者は少ない。
「すみません、遠くまで。」
「いいんだよ。それより、当時の資料がまだ残っていれば良いんだけど。」