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    時計

    麦茶丸

    PAST長文の小説をポツポツ上げる場所を探していて、ポイピクでできるか試運転してみようと思います。
    ≪あらすじ≫
    ロンドンでの同棲も、もうすぐ1年。時計塔での研究が忙しいこともあって、二人の会話が減ってきていた。カドックはそんな現状に特に危機感を持たず、忙しいを言い訳に目を反らしていた。そんなある日、誰かの会話で危機感を覚え、カドックは行動に出る。
    言葉の代わりをずっと探して 立香と付き合ってもうすぐ1年が経つ。思えば恋人になる前の時間の方が長く、まだ1年かとも思った。恋人らしいことも少しずつ慣れていき、それに伴うように会話が少し減った気がする。喧嘩をするほど仲が悪いわけじゃない。ただ時計塔での研究が忙しいことも相まって、二人で過ごす時間も減ってしまったのだ。このままじゃダメだと心の隅ではわかっているのに、研究に明け暮れる自分を止めることができなかった。
    そんなある日の昼休み。初夏手前の春が少し残る気候。麗らかな日差しの元、カドックは珍しく時計塔の中庭で昼食をとっていた。このところ研究が行き詰っており、たまには気分転換が必要だと思ったからだ。
     しかし慣れないことはするものじゃないと思った。中庭にはそれなりに人がいる。喧騒も相まってうるさく感じた。盗み聞ぎなどするつもりもなかったが、ちょうど後ろのベンチから話し声が聞こえてくる。
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