SSS
ムツキ
TRAINING推しなのですが一生まぁ様の髪型を上手に描ける気がせぬ。天井4回目ですり抜けたので少し心が折れてまいりましたが深追いはせぬと決めていたので諦める時はあっさり諦めます。
仕事に忙殺され、体調を崩したりしておりましたら結局ライビュ無理だぁ……となり、購入したジャケットとペンラが家で寂しそうにしているのですが、sss開催おめでとうございます!
本日はちょうどジャケットが合いそうな気候ですね。
あまや
PASTSSS/弓弦と茨、凪砂と茨茨とやさしさについて2編
初出 22.12.17
やさしさ◇弓弦と茨
茨が時折夜中に泣いていることを知っている。その原因も、感情も理解しているつもりなので、そういう時は俺が起きていることを知られないように細心の注意をはらいながら寝たふりをする。あれでもこっそりと泣いているつもりなのだ。鼻を啜る音、声を殺してしゃくり上げる少し歪な呼吸音、身じろぐ衣擦れの音。見えずとも、茨が限界まで体を丸めて憤りを堪えようとしていることは容易に想像がついた。
茨がその体の幼さを、力の弱さを、搾取され続ける現状を悔しがっていることを知っている。だから俺は泣いているあの子の小さい体を抱きしめることも、代わりに喧嘩を買ってやることも、俺の持ちうる権力を使って相手を黙らせることもしない。ただ一人で生きていくと固く誓ったあの子が立派にその人生を全うできるように、明日も喝を入れ、檄を飛ばす。
807茨が時折夜中に泣いていることを知っている。その原因も、感情も理解しているつもりなので、そういう時は俺が起きていることを知られないように細心の注意をはらいながら寝たふりをする。あれでもこっそりと泣いているつもりなのだ。鼻を啜る音、声を殺してしゃくり上げる少し歪な呼吸音、身じろぐ衣擦れの音。見えずとも、茨が限界まで体を丸めて憤りを堪えようとしていることは容易に想像がついた。
茨がその体の幼さを、力の弱さを、搾取され続ける現状を悔しがっていることを知っている。だから俺は泣いているあの子の小さい体を抱きしめることも、代わりに喧嘩を買ってやることも、俺の持ちうる権力を使って相手を黙らせることもしない。ただ一人で生きていくと固く誓ったあの子が立派にその人生を全うできるように、明日も喝を入れ、檄を飛ばす。
あまや
PASTSSS/凪茨君によく似た景色について
初出 22.12.11
ふと思い立って、カメラを片手にチベットを訪ねた。飛行機で成田から西寧へ、そこから今度は寝台列車に乗り換えて首府・ラサまで。寝台列車にはほぼ一日中乗車していなければならなかったが、雄大な自然や車内で出会した巡礼者とのやりとりはとても興味深く、退屈することはなかった。
日本から丸二日かけて降り立ったラサの地で初めて見上げた空は、濃い青がこれまで経験した中で最も鮮やかに広がっていた。それは標高が高まるにつれ大気中の水滴や塵が少なくなることによって引き起こされる現象であると理論を理解していても、この圧倒的な深く美しい青色の前には本から得た知識など全くの無意味であると突きつけられたような気分になった。理屈を越えて真に迫る美しさがあり、私はしばらくの間ただこの青色を目に焼き付けるためだけに立ち尽くしていた。
876日本から丸二日かけて降り立ったラサの地で初めて見上げた空は、濃い青がこれまで経験した中で最も鮮やかに広がっていた。それは標高が高まるにつれ大気中の水滴や塵が少なくなることによって引き起こされる現象であると理論を理解していても、この圧倒的な深く美しい青色の前には本から得た知識など全くの無意味であると突きつけられたような気分になった。理屈を越えて真に迫る美しさがあり、私はしばらくの間ただこの青色を目に焼き付けるためだけに立ち尽くしていた。
あまや
PASTSSS/凪茨⚠︎死ネタ
※南極ネタなのにシロクマが出てくるので齟齬が気になる方は読まない方が良いです〜
アホ〜!と書いてから思いました
初出 22.11.21
閣下は一年間アイドル活動を休業して、昭和基地に行った。勝手に。いつのまにか上層部が休業を認めており、いつのまにか手続きも終わっていて、俺が知らされたのは記者発表の当日だった。茨に言うと絶対止められるからとかなんとか言い訳をしながらごめんねなんて軽く謝罪をして会見に出ていく閣下の背中を俺は呆然と見つめていた。Eveの二人はもちろん知らされていて、呆気に取られた俺をジュンが気の毒そうな顔で見ていた。ムカつくので足を思いっきり踏んづけてやったら殿下に叱られた。でも仕方ない、聞いていて黙っていたのだからそっちが悪いだろう、なんて。俺は子どものような言い訳を頭の中で挙げ連ねて謝らなかった。それよりも何よりも、仮に一年間の休業はまだいいとしても、昭和基地ってなんだ。何しに行くのかさっぱりわからない。研究者にでもなったつもりなのか? 凍傷にでもなって閣下の美しい肢が損なわれでもしたらどうするんだとか、腹をすかせたシロクマに襲われないかとか、何かトラブルがあってライフラインが途絶えて死んでしまわないかとか、とにかく心配ごとが次から次に浮かんでくる。あの好奇心に素直で奔放な閣下が南極が危険だからと自身をセーブできるとはとても考えられない。誰が彼の手綱を引いてくれるというのか。それは俺にだけ許された特権なのだから、つまり閣下のいるべき場所は俺の隣以外にはないということだ。南極になんか死んでも行かせたくない。
1212あまや
PASTSSS/凪茨⚠︎アイドルしてない
アクノサキー時空的なSFのようなパロ
初出 22.10.06
テセウスの船という思考実験があります。
少しずつ部品を交換し、全ての部品を交換し終えた時、果たしてその船は最初の船と同じ船といえるのかという同一性を問うものです。
「違う」
閣下が俺の前で頽れます。その豊かな銀色の髪が床に散らばることも厭わず、俺の足元に頭を擦り付けるように床に跪いてしまいました。偉大な閣下になんてことをさせてしまったのかと、俺も慌てて膝を突きその頭を上げさせようと肩に手をかけます。悔しそうに握りしめられた掌には爪が食い込んでいて、芸術品のような価値のある御手に傷を作ってしまった原因である自分自身が殊更に悪者のように思えました。血が出ていないのが救いです。俺は床に叩きつけられたその拳をそっと手に取り一本ずつ指を開いてやりました。
779少しずつ部品を交換し、全ての部品を交換し終えた時、果たしてその船は最初の船と同じ船といえるのかという同一性を問うものです。
「違う」
閣下が俺の前で頽れます。その豊かな銀色の髪が床に散らばることも厭わず、俺の足元に頭を擦り付けるように床に跪いてしまいました。偉大な閣下になんてことをさせてしまったのかと、俺も慌てて膝を突きその頭を上げさせようと肩に手をかけます。悔しそうに握りしめられた掌には爪が食い込んでいて、芸術品のような価値のある御手に傷を作ってしまった原因である自分自身が殊更に悪者のように思えました。血が出ていないのが救いです。俺は床に叩きつけられたその拳をそっと手に取り一本ずつ指を開いてやりました。