はねた
TRAINING追憶オブリガートを読んで、巽さんのアイドルになった理由、巽マヨに結びつけられるな…ておもったので。きみ知るやひかりの国「タッツン先輩はさァ、なんでアイドルになろうと思ったの?」
レッスンの休憩中、藍良がふとそう口にした。
おそらくは時間潰しのようなものだったのだろう、何気なしのその問いに、とくにとりつくろうこともないかと正直なところを口にすれば、藍良は目をみひらいてかたまってしまった。
どうやら驚かせてしまったようだとはなんとはなし察せられるものの、ではいったいどのあたりがといえばどうにも判じかねて巽は小首をかしげる。
そういえばいつだったか、おなじ話をしたときジュンには嘘くさいと評されたのだったなということもぼんやりとおもいだした。
自分はどうにも世のならいに疎く、うまく体裁をとりつくろうことができない。
硬直する藍良を見やりつつ、さてどうしたものかと巽は腕組みをし思案する。
1812レッスンの休憩中、藍良がふとそう口にした。
おそらくは時間潰しのようなものだったのだろう、何気なしのその問いに、とくにとりつくろうこともないかと正直なところを口にすれば、藍良は目をみひらいてかたまってしまった。
どうやら驚かせてしまったようだとはなんとはなし察せられるものの、ではいったいどのあたりがといえばどうにも判じかねて巽は小首をかしげる。
そういえばいつだったか、おなじ話をしたときジュンには嘘くさいと評されたのだったなということもぼんやりとおもいだした。
自分はどうにも世のならいに疎く、うまく体裁をとりつくろうことができない。
硬直する藍良を見やりつつ、さてどうしたものかと巽は腕組みをし思案する。
はねた
TRAINING凪茨の可能性について考えてみました。凪砂くんも茨くんもかわいいです。
神さまのこどもたち 夜は窓ガラスの向こうにある。
ベッドがふたつと窓辺にデスクがあるきりの、無機質な部屋は蛍光灯のあかりの下しらじらとしていた。空調は暖かくもなく寒くもなく、どこか乾いて清潔な匂いがする。
ホテルの一室だった。
エデンの四人で観光地案内をと、急遽はいった遠方の仕事だった。そのため手配が追いつかなかったらしい、駅前のビジネスホテルにようやく二部屋を確保したのがつい先ほどのこと、閣下と殿下におかれましてはいまひとたびのご辛抱をと茨はしきりに恐縮していた。
日和とジュンは隣の部屋にいて、すでに寝入っているのかもの音ひとつしない。
五時間以上のロケをこなしたうえに、お風呂が箱みたいだとかベッドに手足がおさまらないだとか、日和いわくの「発見」をするたびこちらに報告をしにきていたから、さすがに疲れたのかもしれなかった。
3954ベッドがふたつと窓辺にデスクがあるきりの、無機質な部屋は蛍光灯のあかりの下しらじらとしていた。空調は暖かくもなく寒くもなく、どこか乾いて清潔な匂いがする。
ホテルの一室だった。
エデンの四人で観光地案内をと、急遽はいった遠方の仕事だった。そのため手配が追いつかなかったらしい、駅前のビジネスホテルにようやく二部屋を確保したのがつい先ほどのこと、閣下と殿下におかれましてはいまひとたびのご辛抱をと茨はしきりに恐縮していた。
日和とジュンは隣の部屋にいて、すでに寝入っているのかもの音ひとつしない。
五時間以上のロケをこなしたうえに、お風呂が箱みたいだとかベッドに手足がおさまらないだとか、日和いわくの「発見」をするたびこちらに報告をしにきていたから、さすがに疲れたのかもしれなかった。
はねた
TRAINING!のときの流星隊の3年生と1年生。噴水で泳ぐってどんなきもちかしら、と考えました。
ひとは愛を食べて育つ ひなたの水はすこしぬるい。
日にさらされたせいかどこか古ぼけていて、布越しの肌にゆったりとまとわりつく。
奏汰は池のなかにいる。
学院の中庭にある池だった。円形の水盤のまんなかには噴水があって、細かな飛沫がきらきらと青空を染めていく。
石造りの池の縁に頭をもたせかけ、ぼんやりと奏汰はそのさまを眺める。
耳元でちゃぷちゃぷと水が揺れる。噴水の音が地鳴りのようにそれに重なる。
夏も間近い時分、陽射しがじりじりと髪や首筋を灼く。このままだとひからびてしまいそうだったから、水のなかに顔の半分くらいまでをつけてみる。
みどろの匂いが鼻先をかすめた。
ひとの手によって整えられた水は、懐っこいわりにどこか肌には馴染まない。すくいあげてみても薄紙一枚隔てたように皮膚のうえを滑っていくばかりで、へんな感じだなあと奏汰はおもう。海の水ならもっとしっくりくるのにと、ぱしゃぱしゃと水面をたたいて感触を確かめていると、池のそばを通りがかった生徒がびくりとしてあとずさった。
4892日にさらされたせいかどこか古ぼけていて、布越しの肌にゆったりとまとわりつく。
奏汰は池のなかにいる。
学院の中庭にある池だった。円形の水盤のまんなかには噴水があって、細かな飛沫がきらきらと青空を染めていく。
石造りの池の縁に頭をもたせかけ、ぼんやりと奏汰はそのさまを眺める。
耳元でちゃぷちゃぷと水が揺れる。噴水の音が地鳴りのようにそれに重なる。
夏も間近い時分、陽射しがじりじりと髪や首筋を灼く。このままだとひからびてしまいそうだったから、水のなかに顔の半分くらいまでをつけてみる。
みどろの匂いが鼻先をかすめた。
ひとの手によって整えられた水は、懐っこいわりにどこか肌には馴染まない。すくいあげてみても薄紙一枚隔てたように皮膚のうえを滑っていくばかりで、へんな感じだなあと奏汰はおもう。海の水ならもっとしっくりくるのにと、ぱしゃぱしゃと水面をたたいて感触を確かめていると、池のそばを通りがかった生徒がびくりとしてあとずさった。
はねた
TRAINING流星隊がすき、というきもちと、流星隊のなかなら翠千だろうか、というきもちをこめて書きました。恋の予感は 八百屋の息子の朝は早い。
野菜のつまった段ボール箱を、毎度ありがとうございまーすと柄にもないアイドルスマイルとともに近所の保育園におさめたのが午前七時過ぎのこと。
あたりにひとけはまばらだった。
まだうっすらと朝靄のけぶるなか、翠は園庭をゆっくりと歩く。緑のビニールが剥がれかけた小山や滑り台など、どれもびっくりするくらい小さい。砂場にはだれかの置き忘れらしいスコップが転がっている。
俺もあんなので遊んでたころがあったんだよなあ、とつい感慨に耽る。高校一年生にしてはすくすくと伸びたこの手足、いまなら小山などひとまたぎで登れてしまいそうだった。
早朝保育に子どもを連れてきたらしい、スーツ姿の男性とすれちがう。一礼すれば、あちらからはおはようございますと爽やかな挨拶が返ってくる。
13325野菜のつまった段ボール箱を、毎度ありがとうございまーすと柄にもないアイドルスマイルとともに近所の保育園におさめたのが午前七時過ぎのこと。
あたりにひとけはまばらだった。
まだうっすらと朝靄のけぶるなか、翠は園庭をゆっくりと歩く。緑のビニールが剥がれかけた小山や滑り台など、どれもびっくりするくらい小さい。砂場にはだれかの置き忘れらしいスコップが転がっている。
俺もあんなので遊んでたころがあったんだよなあ、とつい感慨に耽る。高校一年生にしてはすくすくと伸びたこの手足、いまなら小山などひとまたぎで登れてしまいそうだった。
早朝保育に子どもを連れてきたらしい、スーツ姿の男性とすれちがう。一礼すれば、あちらからはおはようございますと爽やかな挨拶が返ってくる。