屍屋宮
DOODLE榎土なんかちょっと耽美寄りなので注意
朧月「そうやって人を狂わせてる自覚あるのか?アンタ」
いつもと違うどこか抑揚のない声が感情を見せずに発した。そんなもの余程俺よりもアンタの方がわかっちゃいないだろうと榎本は今にも言いそうになったのを、寸でのところで飲み込んだ。結局は互いに何かを狂わせているのだと、理解をした。それは決して愛や恋などというものではない。近いもので言えば執着や独占欲に近しいだろうか。気軽に欲を吐いたとしても引きもしなければ同じような境界線に棲むその男はいつも受け入れるものだから、感覚が麻痺していただけだ。
「……お互い様じゃないか?」
「言うじゃねぇの」
あぁどうして自分は、彼の首に手をかけたのだったか。視界に映る自分の手を見て思案する。衝動は確かにあった、だが、それだけじゃないはずだ。決して彼を殺したいと言う、敵対心や猜疑心からくる殺意ではない。もっと別の…焦燥と執着と憧憬と。
1957いつもと違うどこか抑揚のない声が感情を見せずに発した。そんなもの余程俺よりもアンタの方がわかっちゃいないだろうと榎本は今にも言いそうになったのを、寸でのところで飲み込んだ。結局は互いに何かを狂わせているのだと、理解をした。それは決して愛や恋などというものではない。近いもので言えば執着や独占欲に近しいだろうか。気軽に欲を吐いたとしても引きもしなければ同じような境界線に棲むその男はいつも受け入れるものだから、感覚が麻痺していただけだ。
「……お互い様じゃないか?」
「言うじゃねぇの」
あぁどうして自分は、彼の首に手をかけたのだったか。視界に映る自分の手を見て思案する。衝動は確かにあった、だが、それだけじゃないはずだ。決して彼を殺したいと言う、敵対心や猜疑心からくる殺意ではない。もっと別の…焦燥と執着と憧憬と。
屍屋宮
DOODLE榎土大捏造ありがとうございます自己満です
BL未満(近しい表現有り)
感情「…………。それで?」
(うわーーーー怒ってるよなぁコレ……)
極度に冷え込む箱館に聳える五稜郭。此処を要に創立した蝦夷共和国の総裁は、目の前で仁王立ちしている男に見るも無残なほどに怒られている状況である。間違ってでも彼に駄々をこね、譲り受けた自身のかわいいかわいい小姓である田村銀之助、もしくは彼の優秀で勝気の小姓の市村鉄之助が入ってこないことを願うばかりだ。
「分からなくはねぇよ、浮かれたい気分もよ。だけどな、雪さえ解けりゃいつ戦が始まってもおかしくはねぇし内部に潜り込んでない絶対の可能性なんてねぇんだぞ、おい聞いてんのか榎本さん」
「うん、聞いてるぞ。」
確かにこの日は特別で、蝦夷共和国の創立記念に宴会騒ぎであったし、榎本武揚は立場上酒を飲まねばならない。まぁ米の水……で酔いが回ることは無いはずだが。それにしても目の前にいる男が自分を見るその顔は、いつ見ても整っており妙に長い睫毛も白い肌も、纏う雰囲気さえも同性だと分かってるいても色気のあるものだと話を聞き流しながら思っていた。
2659(うわーーーー怒ってるよなぁコレ……)
極度に冷え込む箱館に聳える五稜郭。此処を要に創立した蝦夷共和国の総裁は、目の前で仁王立ちしている男に見るも無残なほどに怒られている状況である。間違ってでも彼に駄々をこね、譲り受けた自身のかわいいかわいい小姓である田村銀之助、もしくは彼の優秀で勝気の小姓の市村鉄之助が入ってこないことを願うばかりだ。
「分からなくはねぇよ、浮かれたい気分もよ。だけどな、雪さえ解けりゃいつ戦が始まってもおかしくはねぇし内部に潜り込んでない絶対の可能性なんてねぇんだぞ、おい聞いてんのか榎本さん」
「うん、聞いてるぞ。」
確かにこの日は特別で、蝦夷共和国の創立記念に宴会騒ぎであったし、榎本武揚は立場上酒を飲まねばならない。まぁ米の水……で酔いが回ることは無いはずだが。それにしても目の前にいる男が自分を見るその顔は、いつ見ても整っており妙に長い睫毛も白い肌も、纏う雰囲気さえも同性だと分かってるいても色気のあるものだと話を聞き流しながら思っていた。