umi_scr
DONE[セラサク]始まるかもしれない(そうでもないかもしれない)二人の話言葉よりも あれ以来、距離が縮まったのは事実だった。それはいいことだと世良は思っていた。スタメンを争う関係性ではあるが、だからこそ険悪でないことが大事なのだ。今日も持ち前のヘラヘラした笑顔を貼り付けながら堺に話しかける。
「堺さん、昨日何食べました?」
「は?」
何だよそれ、認知テストかよ……そう呆れたような声で返ってくる。ああ、微妙に失敗したのかもしれない。
仲良くはしたいが、共通の話題なんてものはない。サッカーという最大級のつながりはあるものの、逆にいうとそれだけなのだ。年齢差のせいもあるのかもしれない。いや、それよりも人間性が違いすぎるのか。自分は落ち着いて物事を進めるのがめちゃくちゃ苦手だ。寡黙が服を着て歩いているような堺にとっては、存在自体が鬱陶しいのかもしれない。
2386「堺さん、昨日何食べました?」
「は?」
何だよそれ、認知テストかよ……そう呆れたような声で返ってくる。ああ、微妙に失敗したのかもしれない。
仲良くはしたいが、共通の話題なんてものはない。サッカーという最大級のつながりはあるものの、逆にいうとそれだけなのだ。年齢差のせいもあるのかもしれない。いや、それよりも人間性が違いすぎるのか。自分は落ち着いて物事を進めるのがめちゃくちゃ苦手だ。寡黙が服を着て歩いているような堺にとっては、存在自体が鬱陶しいのかもしれない。
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PAST[セラサク]冬の日のベテラン居酒屋劇場 ほんのりザキタン風味なぜだか泣きたくなったずっと一人で生きていくんだろうな、と思ってた。そう思うようになったのは二十代半ばの頃だ。
仲間連中が結婚していく中、俺にも付き合っていた女性がいた。向こうは普通の会社員で、休みの予定なんか到底合わなかったけれどきちんと会う努力をしたし、こまめに連絡もした。俺はたぶん、彼女にとって悪い恋人ではなかったと思う。
けれど、情熱はなかった。責任感に行動を駆り立てられただけでちっとも心なんかこもってやしなかった。かといって嫌いなわけでもなく、長年の付き合いによる情っていうのもわいていた。俺の仕事をきちんと理解してくれ、さりげなくサポートしてくれた彼女は、アスリートの妻にするにはこれ以上ないくらいの人材だった。
4023仲間連中が結婚していく中、俺にも付き合っていた女性がいた。向こうは普通の会社員で、休みの予定なんか到底合わなかったけれどきちんと会う努力をしたし、こまめに連絡もした。俺はたぶん、彼女にとって悪い恋人ではなかったと思う。
けれど、情熱はなかった。責任感に行動を駆り立てられただけでちっとも心なんかこもってやしなかった。かといって嫌いなわけでもなく、長年の付き合いによる情っていうのもわいていた。俺の仕事をきちんと理解してくれ、さりげなくサポートしてくれた彼女は、アスリートの妻にするにはこれ以上ないくらいの人材だった。
bunbun0range
DONEペットショップで世良君みたいなワンコと戯れる堺良則(31)サクセラ、セラサク
(両方とも好きなので、読む人によってお好きにカプは捉えてくださいね!)
セラサクセラ 下町らしい活気ある浅草の通り。爽やかな青空に浮かんでいた太陽が西に傾き始め、街が茜色に染まっていく。
堺は帰路を急ぐ子供たちの横目に、丹波たちと約束していた居酒屋に向かっていた。約束の時間まで十分余裕がある。今日も一番乗りは自分であろう。まぁ、時間通りに始まればそれでいいと思い、早くも遅くもない足取りで歩いていた。
年代の近い固定化したメンバーで、馴染みの場所で、いつの時間に集まる。いつの間にか変化がないことをつまらないだとか、飽きたとか文句を言う年齢ではなくなっていた。未知との邂逅で鼓動を躍らせるより、心は安心感を求め始めている。
チームでも若い歳ではない。しかし、それがネックだと思いたくはない。
1854堺は帰路を急ぐ子供たちの横目に、丹波たちと約束していた居酒屋に向かっていた。約束の時間まで十分余裕がある。今日も一番乗りは自分であろう。まぁ、時間通りに始まればそれでいいと思い、早くも遅くもない足取りで歩いていた。
年代の近い固定化したメンバーで、馴染みの場所で、いつの時間に集まる。いつの間にか変化がないことをつまらないだとか、飽きたとか文句を言う年齢ではなくなっていた。未知との邂逅で鼓動を躍らせるより、心は安心感を求め始めている。
チームでも若い歳ではない。しかし、それがネックだと思いたくはない。