意外な二人 桜の形に切られた人参と、出汁の優しい味のした薄茶色のご飯を箸で口に運ぶ。
「美味しいッスね。この炊き込みご飯」
「だろ?」
後藤さんが嬉しそうに目を細める。その穏やかな笑顔が年末年始に久しぶりに会った祖父と被って見えたことは、今は言わない方がいいだろう。年齢的には祖父ではなく父親の方が近い。
夕方。クラブハウスで後藤さんと帰る時間が偶然被り、一緒に食事に行くことになった。GMはいろんな店を知ってるんすねと他意なく言うと「うん、そうだな……」と遠い目をしていたけれど。どうやらスポンサー様への接待はなかなか大変らしい。
こうして後藤さんが連れてきてくれたのはカウンターと個室が四つほどしかない小さな小料理屋。日曜日ということもあって少し混んでいたけれど、選手である俺に気を遣って店員さんは小上がりの個室を案内してくれた。
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