sawa
MOURNINGシエシエ成長if煙草ネタ夜明けの狭間「いい年して少しは落ち着いたらどうなんだ」
夏の早い夜明けの気配がカーテン越しにも届き出す頃、ベッドの上でのろのろと半身を起こした弟は、自身のいたるところにつけられた鬱血痕を目で追い、呆れたようにため息なんてついて見せた。犯人はもちろん僕。胸元にも、二の腕にも、臍の横にも、太腿の内側際どい場所まで、いくつも思うままに咲かせた所有印は、弟の白く柔らかな肌によく映えた。
幼少の頃から拗らせてきた弟への執着は、歳を重ねて落ち着くどころか増していくばかりだ。さすがに人前であからさまにそれを出すなんてことはしなくなったけれど、その分二人きりで過ごす夜は歯止めが効かなかった。
たとえばそう。たまたま一緒になった夜会で見かけた弟が、自身の会社のスポンサーなのかどこぞのお貴族様に必要以上に(と僕には見えた)愛想よく尻尾を振っている様なんぞ見てしまった、今夜のような日は。
1491夏の早い夜明けの気配がカーテン越しにも届き出す頃、ベッドの上でのろのろと半身を起こした弟は、自身のいたるところにつけられた鬱血痕を目で追い、呆れたようにため息なんてついて見せた。犯人はもちろん僕。胸元にも、二の腕にも、臍の横にも、太腿の内側際どい場所まで、いくつも思うままに咲かせた所有印は、弟の白く柔らかな肌によく映えた。
幼少の頃から拗らせてきた弟への執着は、歳を重ねて落ち着くどころか増していくばかりだ。さすがに人前であからさまにそれを出すなんてことはしなくなったけれど、その分二人きりで過ごす夜は歯止めが効かなかった。
たとえばそう。たまたま一緒になった夜会で見かけた弟が、自身の会社のスポンサーなのかどこぞのお貴族様に必要以上に(と僕には見えた)愛想よく尻尾を振っている様なんぞ見てしまった、今夜のような日は。
sawa
TRAININGMirror 日差しに春の気配が漂い始めた三月の初め、それでも日が落ちると冬のように冷え込んだ。就寝準備を整えて横たわった子供部屋のベッドに、もう一つ、同じ体温が我が物顔で潜り込んでくる。
「自分のベッドで読みなよ」
うつ伏せで半身を起こし持ち込んだ本を開いた兄に、狭い、と口先だけの文句を言ってみる。本当は布団の中で触れ合う腕や足の先から柔らかな熱が移り合う感触は、決して嫌ではなかったのだけれど。
「僕の布団冷たいんだもん」
僕をちらりと横目で流し見てくすりと笑い、同じように口先だけの言い訳を返す兄には、僕が嫌がっていないことなどお見通しだろう。
当たり前のように定位置に収まり、本の続きを読み始めた兄にはもはや何を言っても無駄だ。仰向けに転がったまま、触れ合う体温をこっそり堪能しつつ、紙面を追う兄の横顔を眺める。
2027「自分のベッドで読みなよ」
うつ伏せで半身を起こし持ち込んだ本を開いた兄に、狭い、と口先だけの文句を言ってみる。本当は布団の中で触れ合う腕や足の先から柔らかな熱が移り合う感触は、決して嫌ではなかったのだけれど。
「僕の布団冷たいんだもん」
僕をちらりと横目で流し見てくすりと笑い、同じように口先だけの言い訳を返す兄には、僕が嫌がっていないことなどお見通しだろう。
当たり前のように定位置に収まり、本の続きを読み始めた兄にはもはや何を言っても無駄だ。仰向けに転がったまま、触れ合う体温をこっそり堪能しつつ、紙面を追う兄の横顔を眺める。