pemon_nek
DOODLE「神さまズちゃんねる」シリーズ以下略雷は空を昇る:解放戦線─任務開始─出撃から31時間ほど経過し、A.S.に帰還すると昼間も近い時間になっていた。テンゼロはすぐにミストの元に駆けつけたかったが部門長からの呼び出しがあり、応じぬわけにもいかず出頭する。
「!」
「本日付でお前の部隊に配属することが決定した」
「ミカと申します。1.0班長、若輩者ですが何卒よろしくお願いいたします」
きれいな最敬礼。十数時間ぶりに見た光景だ。ただし見た目はA.S.の隊員と遜色ない。6枚の熾天使の翼はどこにもなかった。
「あ、ああよろしく」
「要件はそれだけだ、もう行っていい」
「はい。失礼します。…ミカ、案内する」
「よろしくお願いします。部門長、失礼いたします」
パタン、と部門長室の扉を閉めるとテンゼロは我慢していた言葉を吐いた。
16001「!」
「本日付でお前の部隊に配属することが決定した」
「ミカと申します。1.0班長、若輩者ですが何卒よろしくお願いいたします」
きれいな最敬礼。十数時間ぶりに見た光景だ。ただし見た目はA.S.の隊員と遜色ない。6枚の熾天使の翼はどこにもなかった。
「あ、ああよろしく」
「要件はそれだけだ、もう行っていい」
「はい。失礼します。…ミカ、案内する」
「よろしくお願いします。部門長、失礼いたします」
パタン、と部門長室の扉を閉めるとテンゼロは我慢していた言葉を吐いた。
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DOODLE「神さまズちゃんねる」シリーズ以下略雷は空を昇る:日常が非日常で、非日常が日常のジン生テンゼロが臨戦態勢を取ったことを男は無言でただ見つめていた。槍を構える素振りはない。テンゼロは目を凝らして男の表情、瞳、所作から感情や考えを読もうと試みたが全く読めてこない。脳裏に同じように無表情なミストの顔が浮かんだがわかりづらいだけで彼には機微が存在していた。だがこの男の無表情には得体の知れない不気味さがある。まるで本当に感情がないかのように空虚だ。
「…そう構えるな、と言ったところでお前はその重心も朧げな構えを解かんのだろう」
男はテンゼロの敵意も気にせず平坦にそう発言すると、磔にされていた兵士たちの方に向きを変え槍を構えた。
「ひっ!!」
「や、やめ…!」
テンゼロが動くより先に槍が兵士たちを一閃する。ガレオンよりはるかに強力な一撃が兵士たちの身体を真っ二つに…
11560「…そう構えるな、と言ったところでお前はその重心も朧げな構えを解かんのだろう」
男はテンゼロの敵意も気にせず平坦にそう発言すると、磔にされていた兵士たちの方に向きを変え槍を構えた。
「ひっ!!」
「や、やめ…!」
テンゼロが動くより先に槍が兵士たちを一閃する。ガレオンよりはるかに強力な一撃が兵士たちの身体を真っ二つに…
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DOODLE「神さまズちゃんねるシリーズ」の前日譚以下略雷は空を昇る:非日常のはじまり・
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「っ…」
上がりそうになる声をとっさに抑えてテンゼロは体を固くさせた。意識を取り戻したテンゼロはまず、気絶したふりをしたまま自分の置かれている状況を把握することに努めた。
自分は寝転がされている、感触からして土の上。あの森から移動させられたようだ。それから滞留した空気と不快な湿気、どこかで水が滴り落ち、それが反響している。どこかの室内、床が土であることからして洞窟と考えるのが妥当か。身動き一つしないでテンゼロは地面に近い方の片目をゆっくりと開いた。薄目で確認して見張りがいないことを確認し、正面は鉄格子とその先に土色の壁、やはり洞窟のようだ。自分はどこかの洞窟の牢屋の中に入れられているようだ。見張りがいないことの確認が取れたので、両目を開けると最小限の眼球と首の動きで牢屋や正面の壁などにカメラの類がないかを確認した。それもないようで、牢屋の中には自分以外はいない。現状、この場には自分しかおらず監視するものはない。
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「っ…」
上がりそうになる声をとっさに抑えてテンゼロは体を固くさせた。意識を取り戻したテンゼロはまず、気絶したふりをしたまま自分の置かれている状況を把握することに努めた。
自分は寝転がされている、感触からして土の上。あの森から移動させられたようだ。それから滞留した空気と不快な湿気、どこかで水が滴り落ち、それが反響している。どこかの室内、床が土であることからして洞窟と考えるのが妥当か。身動き一つしないでテンゼロは地面に近い方の片目をゆっくりと開いた。薄目で確認して見張りがいないことを確認し、正面は鉄格子とその先に土色の壁、やはり洞窟のようだ。自分はどこかの洞窟の牢屋の中に入れられているようだ。見張りがいないことの確認が取れたので、両目を開けると最小限の眼球と首の動きで牢屋や正面の壁などにカメラの類がないかを確認した。それもないようで、牢屋の中には自分以外はいない。現状、この場には自分しかおらず監視するものはない。
pemon_nek
DOODLEXに投稿中の「神さまズちゃんねる」シリーズの前日譚(?)のようなもの。クソ長いのでごくまれーに更新します、多分。ヘルセムやミストたちが戦い、戦神が「箱庭」と呼ばれるこの世界を統治するまでの話。
ほぼ恋愛要素はなし。ファンタジー重視。アダルトは後半にあるかないか程度。親子愛が中心です。
雷は空を昇る:日常軍事国家・コンバハットに本拠地を構える民間軍事機関、アーマーシェルド略してA.S.は数年前に終結した大陸全土を巻き込んだ大戦の残り火で今日も潤っている。全隊員、職員に衣食住を担保し、給料も大陸全土を見渡しても高水準で、それでいながら大抵の志望者を雇用する。兵役から生きて帰ってこられた者の大半は食や家を失っていたから実に良い就職先なのだ。それにコンバハット国は大陸の北に位置する1年の半分以上が冬、という極寒の地であり、暖を取る家がない、ということは死と同義だった。今回の戦争で元から大きかった貧富の差は更に広がり、持たざる者たちは死ぬかなりふり構わず生きるか、どちらかを迫られていた。それゆえ戦争で恩恵を受けていたという嫌味な側面があっても、衣食住の揃ったA.S.は国民たちにとって魅惑的であった。
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