大豆よろず
DONEすぺさんが企画してくださった『素敵絵からssを書いて講評会』でりっつんさんが描いてくださったイラストを元にssを書かせていただきました!!また来年の夏も来ておくれ 入道雲が蒼穹の空に映える真夏の頃。緑映ゆる山々に囲まれた屋敷に水木は訪れていた。
「さて。今年も来たな。マヨイガに」
漆塗りの門を潜った先には白髪の男ことゲゲ郎が迎えてくれた。
「久しぶりじゃのう。水木。暑かったじゃろ」
「当分外には出たくねえ……」
ゲゲ郎からのご好意に甘えて麦茶を飲み干す。子守りの婆さんや母を想起させる懐かしい味に暑さに辟易としていた水木の頬が綻ぶ。
「ならば、わしらと同類になれば良い」
「だが、断る」
「間髪入れずの拒否とは!わしは悲しいぞ!」
およよ……と袖を涙で濡らすゲゲ郎を押し除けながら、水木は耳を澄ます。
チリーン。チリンチリン。チリーン。
夏を彩る風鈴の音が屋敷中に、山中に広がって、響き渡っていく。
815「さて。今年も来たな。マヨイガに」
漆塗りの門を潜った先には白髪の男ことゲゲ郎が迎えてくれた。
「久しぶりじゃのう。水木。暑かったじゃろ」
「当分外には出たくねえ……」
ゲゲ郎からのご好意に甘えて麦茶を飲み干す。子守りの婆さんや母を想起させる懐かしい味に暑さに辟易としていた水木の頬が綻ぶ。
「ならば、わしらと同類になれば良い」
「だが、断る」
「間髪入れずの拒否とは!わしは悲しいぞ!」
およよ……と袖を涙で濡らすゲゲ郎を押し除けながら、水木は耳を澄ます。
チリーン。チリンチリン。チリーン。
夏を彩る風鈴の音が屋敷中に、山中に広がって、響き渡っていく。
2020leapDAY
MOURNING同僚水。Xの相互様が呟いてた話を勝手に書いて勝手に放り投げるという愚行の上でできた話ですが、ご本人に書いちゃった報告した&メモから削除したいので供養白日「えぇ、俺ですか」
「何だ、不満かね。彼の事は知っているだろう」
「そりゃモト隣ですからね、知ってますけど……」
けど、の先には大量の意味が含まれている。苦手だ、とか、面倒だ、とか。厄介事に巻き込まれたくない、だとか。
隣に座っていた水木という男が、時貞翁の言葉に反応して即座に立ち上がり、社長室に消えてからの事を彼は詳しく知らない。どれぐらい喋っていたのかすら定かでない。気が付けば居なくなっていて、出張に出かけたとだけ後から聞いた。
いつも上司にしか土産買ってこないんだよなアイツ。
そういう媚びを隠さないところとか、同期である自分をあからさまに敵視しているところとか、値の張るPeaceを惜しげも無く吸うところとか、嫌いでは無かったが、向こうは別に自分の事は好きじゃないだろうと思っていた。
3875「何だ、不満かね。彼の事は知っているだろう」
「そりゃモト隣ですからね、知ってますけど……」
けど、の先には大量の意味が含まれている。苦手だ、とか、面倒だ、とか。厄介事に巻き込まれたくない、だとか。
隣に座っていた水木という男が、時貞翁の言葉に反応して即座に立ち上がり、社長室に消えてからの事を彼は詳しく知らない。どれぐらい喋っていたのかすら定かでない。気が付けば居なくなっていて、出張に出かけたとだけ後から聞いた。
いつも上司にしか土産買ってこないんだよなアイツ。
そういう媚びを隠さないところとか、同期である自分をあからさまに敵視しているところとか、値の張るPeaceを惜しげも無く吸うところとか、嫌いでは無かったが、向こうは別に自分の事は好きじゃないだろうと思っていた。