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PAST【あか。】過去作サルベージ。
月。/陽祭
あか。〝赤〟が好きだ。
〝赤〟は、私の色。
お祭りの、赤。賑やかな喧騒の色。
〝赤〟が好きだ。
〝赤〟は、あなたの色。
太陽の、赤。今まで知らなかった気持ちをくれた色。
「祭莉」
あなたに名前を呼ばれる度に。
「陽」
あなたの名前を呼ぶ度に。
〝赤〟がどんどん好きになる。
〝赤〟が好きだ。
〝赤〟は、私たちの色。
お祭りの、赤。太陽の、赤。
愛する人の色。
192〝赤〟は、私の色。
お祭りの、赤。賑やかな喧騒の色。
〝赤〟が好きだ。
〝赤〟は、あなたの色。
太陽の、赤。今まで知らなかった気持ちをくれた色。
「祭莉」
あなたに名前を呼ばれる度に。
「陽」
あなたの名前を呼ぶ度に。
〝赤〟がどんどん好きになる。
〝赤〟が好きだ。
〝赤〟は、私たちの色。
お祭りの、赤。太陽の、赤。
愛する人の色。
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PAST【だって、】過去作サルベージ。
月。/陽祭
だって、 いつも、なにかと理由を探している。
「祭莉」
「なに?」
「手、繋ごう」
「なんで?」
「この人混みだ。はぐれたら困るだろ」
「ん、分かった」
お互いに触れるための、理由を。
「陽」
「うん?」
「疲れた」
「おい……」
「手、引っぱっていって」
「しかたねえなあ」
理由がないと、触れられないから。
理由がないと、触れてはいけないから。
(だって、俺たちは……)
(だって、私たちは……)
((〝相棒〟だから――))
221「祭莉」
「なに?」
「手、繋ごう」
「なんで?」
「この人混みだ。はぐれたら困るだろ」
「ん、分かった」
お互いに触れるための、理由を。
「陽」
「うん?」
「疲れた」
「おい……」
「手、引っぱっていって」
「しかたねえなあ」
理由がないと、触れられないから。
理由がないと、触れてはいけないから。
(だって、俺たちは……)
(だって、私たちは……)
((〝相棒〟だから――))
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PAST【眠り姫とヘタレな王子様】過去作サルベージ。
月。/陽祭
眠り姫とヘタレな王子様「ただいま~……って、あれっ?」
葉月陽が仕事から帰ると、プロセラルムの共有ルームに他のメンバーの姿はなく、代わりに珍しい人物がいた。
「祭莉……?」
陽が呼びかけても、相手――元宮祭莉はソファに座ったまま微動だにせず、彼のほうに振り向きもしない。
もしやと思い、正面にまわり込んでみれば、案の定、祭莉は目を閉じてすやすやと寝息をたてながら眠っていた。
「ったく……こんな所で寝てたら風邪ひくっつーの」
そうなる前に起こしてやろうと、祭莉の肩に手を伸ばした陽だったが、普段は拝めない恋人のかわいい寝顔に思わず見入ってしまい、その手を止めた。
伏せられた、意外と長い睫毛。
うっすらと紅のさす頬。
そして、わずかに開いて寝息をこぼす小さな唇。
661葉月陽が仕事から帰ると、プロセラルムの共有ルームに他のメンバーの姿はなく、代わりに珍しい人物がいた。
「祭莉……?」
陽が呼びかけても、相手――元宮祭莉はソファに座ったまま微動だにせず、彼のほうに振り向きもしない。
もしやと思い、正面にまわり込んでみれば、案の定、祭莉は目を閉じてすやすやと寝息をたてながら眠っていた。
「ったく……こんな所で寝てたら風邪ひくっつーの」
そうなる前に起こしてやろうと、祭莉の肩に手を伸ばした陽だったが、普段は拝めない恋人のかわいい寝顔に思わず見入ってしまい、その手を止めた。
伏せられた、意外と長い睫毛。
うっすらと紅のさす頬。
そして、わずかに開いて寝息をこぼす小さな唇。
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PAST【あなたをアンインストール】過去作サルベージ。
月。/陽祭
あなたをアンインストール「陽をアンインストールできたらいいのに」
そう言った祭莉の瞳は揺れていた。今にもなにかが溢れてしまいそうなくらいに。
でも、まだ触れてはいけない気がして。俺は笑って気づかないふりをした。
「俺はアプリかなんかかよ」
くしゃりと頭を撫でてやれば、その瞳の翳りは消えてくれたけれど。俺の胸の重みは増すばかりで。
……なあ、頼むから。
もう少しだけでいいから、この気持ちに気づかせないでくれ。
もう少しだけでいいから、お前は〝妹〟なんだって思わせてくれよ――
◇
「陽をアンインストールできたらいいのに」
そう言った私の気持ちに、気づいていないわけがないのに。
「俺はアプリかなんかかよ」
陽はそう言って、また笑ってごまかした。
464そう言った祭莉の瞳は揺れていた。今にもなにかが溢れてしまいそうなくらいに。
でも、まだ触れてはいけない気がして。俺は笑って気づかないふりをした。
「俺はアプリかなんかかよ」
くしゃりと頭を撫でてやれば、その瞳の翳りは消えてくれたけれど。俺の胸の重みは増すばかりで。
……なあ、頼むから。
もう少しだけでいいから、この気持ちに気づかせないでくれ。
もう少しだけでいいから、お前は〝妹〟なんだって思わせてくれよ――
◇
「陽をアンインストールできたらいいのに」
そう言った私の気持ちに、気づいていないわけがないのに。
「俺はアプリかなんかかよ」
陽はそう言って、また笑ってごまかした。
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PAST【花火色】過去作サルベージ。
月。/陽祭
花火色「あ、花火」
祭莉の声に振り向くと、ちょうど夜空に大輪の花が咲いたところだった。一拍遅れて、どんっ、と重たい音が鳴り響く。
「あー、そういえば、今夜は花火大会だったっけな」
「綺麗……」
俺の話を聞いているのか、いないのか。祭莉の目は花火に釘づけだ。
きらきらと瞳を輝かせて夜空を見上げる横顔がなんだかまぶしくて、俺はそっと目を逸らした。
「……近くだし、見にいくか?」
「えっ?」
「花火」
「いいのっ?」
「ああ」
「行く! ありがとう、陽!」
「……どういたしまして。ほら、行くぞ」
思いがけず向けられた笑顔に、顔が熱くなる。
そのことに気づかれないようにと、慌てて踵を返した俺を不審がることもなく、祭莉は楽しそうにあとをついてくる。
521祭莉の声に振り向くと、ちょうど夜空に大輪の花が咲いたところだった。一拍遅れて、どんっ、と重たい音が鳴り響く。
「あー、そういえば、今夜は花火大会だったっけな」
「綺麗……」
俺の話を聞いているのか、いないのか。祭莉の目は花火に釘づけだ。
きらきらと瞳を輝かせて夜空を見上げる横顔がなんだかまぶしくて、俺はそっと目を逸らした。
「……近くだし、見にいくか?」
「えっ?」
「花火」
「いいのっ?」
「ああ」
「行く! ありがとう、陽!」
「……どういたしまして。ほら、行くぞ」
思いがけず向けられた笑顔に、顔が熱くなる。
そのことに気づかれないようにと、慌てて踵を返した俺を不審がることもなく、祭莉は楽しそうにあとをついてくる。
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PAST【キミに届け!】過去作サルベージ。
月。/陽祭
キミに届け! ああ、自分の鼓動がうるさい。こんなに大きな音じゃ、あいつにまで聞こえちまう。
落ち着け、俺。声が震えたりしたら格好悪いぞ。
ゆっくり深呼吸して。ちゃんと言うんだ。今日こそ、伝えるんだ。
「祭莉!」
ずっとずっと大切にしてきた、この想いを。
「好きだ!」
◇
ずっと待っていた、でも、くれるはずもないと思っていた言葉。
ああ、夢ならばどうかこのまま一生醒めないで!
「私も」
人は嬉しくても涙を流すって、本当だったんだね。
あなたの驚いた顔がぼやけて見えるよ。
「私も、陽が好きだよ」
……上手く、笑えたかな?
283落ち着け、俺。声が震えたりしたら格好悪いぞ。
ゆっくり深呼吸して。ちゃんと言うんだ。今日こそ、伝えるんだ。
「祭莉!」
ずっとずっと大切にしてきた、この想いを。
「好きだ!」
◇
ずっと待っていた、でも、くれるはずもないと思っていた言葉。
ああ、夢ならばどうかこのまま一生醒めないで!
「私も」
人は嬉しくても涙を流すって、本当だったんだね。
あなたの驚いた顔がぼやけて見えるよ。
「私も、陽が好きだよ」
……上手く、笑えたかな?
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PAST【同月 de 手繋ぎシチュエーション~繋いでないのもあるよ☆~ 陽祭編】過去作サルベージ。
月。/陽祭
同月 de 手繋ぎシチュエーション~繋いでないのもあるよ☆~ 陽祭編葉月陽「おい、祭莉。あんまりきょろきょろしてっと人にぶつかるぞ」
元宮祭莉「うん……」
(人混みが珍しく、上の空で返事をする祭莉)
陽「……って、危ない!」
(慌てて祭莉の肩を抱きよせる陽)
祭莉「!? びっくりした」
陽「それはこっちのセリフだっつーの! まったく……言ってるそばから人と正面衝突しようとするなよな」
(呆れ顔の陽)
祭莉「あ、ごめん」
陽「ちゃんと前見て歩けよ」
祭莉「うん……ねえ、陽」
陽「ん?」
祭莉「なんで私の肩抱いたまま歩くの? 動きづらいんだけど」
(不思議そうに陽を見上げる祭莉)
陽「あー……離したら、おまえ、また人とぶつかりそうだからな」
祭莉「ふーん……?」
陽(ただ祭莉に触りたいだけとか言えねえ……!)
343元宮祭莉「うん……」
(人混みが珍しく、上の空で返事をする祭莉)
陽「……って、危ない!」
(慌てて祭莉の肩を抱きよせる陽)
祭莉「!? びっくりした」
陽「それはこっちのセリフだっつーの! まったく……言ってるそばから人と正面衝突しようとするなよな」
(呆れ顔の陽)
祭莉「あ、ごめん」
陽「ちゃんと前見て歩けよ」
祭莉「うん……ねえ、陽」
陽「ん?」
祭莉「なんで私の肩抱いたまま歩くの? 動きづらいんだけど」
(不思議そうに陽を見上げる祭莉)
陽「あー……離したら、おまえ、また人とぶつかりそうだからな」
祭莉「ふーん……?」
陽(ただ祭莉に触りたいだけとか言えねえ……!)