夜星Δ
MOURNINGよくわからなくなっちゃった 連作のつもりです同情と餞 同情
「待ってたわ」
緑髪の少女―いや、女性は落ち着いた様子で薄暗い研究室の椅子に腰掛けている。何年も変わらない、彼女の定位置。突然の来訪も予期していたようで、優雅に珈琲を啜っていた。
「…ケビンが聖痕計画の遂行者になるようだ」
「ええ、聞いているわ。それが?」
何の気なしに返されて、思わず眉がぴくりと動く。どうして声色ひとつ変えずに話せるのだろうか。
「彼にばかり全て背負わせるなって、今更じゃない?」
くつくつと意地悪く笑い、此方の言いたいことを見透かすように、蛇の双眸がじっとりと見抜く。
「ほら、貴方は何も言い返せない。しょうがないわ、それが事実だもの」
それでも、ただでさえ孤独な彼をこれ以上独りにしていいものか。これまで共に肩を並べて戦っていたのに、どうして大多数の人と同じように彼の手を離してしまうんだろう。関節が白くなるほど強く拳を握りしめて、歯を食いしばる。がり、と削れるような音がしてもお構いなしだ。
3879「待ってたわ」
緑髪の少女―いや、女性は落ち着いた様子で薄暗い研究室の椅子に腰掛けている。何年も変わらない、彼女の定位置。突然の来訪も予期していたようで、優雅に珈琲を啜っていた。
「…ケビンが聖痕計画の遂行者になるようだ」
「ええ、聞いているわ。それが?」
何の気なしに返されて、思わず眉がぴくりと動く。どうして声色ひとつ変えずに話せるのだろうか。
「彼にばかり全て背負わせるなって、今更じゃない?」
くつくつと意地悪く笑い、此方の言いたいことを見透かすように、蛇の双眸がじっとりと見抜く。
「ほら、貴方は何も言い返せない。しょうがないわ、それが事実だもの」
それでも、ただでさえ孤独な彼をこれ以上独りにしていいものか。これまで共に肩を並べて戦っていたのに、どうして大多数の人と同じように彼の手を離してしまうんだろう。関節が白くなるほど強く拳を握りしめて、歯を食いしばる。がり、と削れるような音がしてもお構いなしだ。
夜星Δ
DOODLE短すぎて支部にいれるやつでもない書き散らしマフィアパロ「そう、肩の力を抜いて、呼吸を落ち着けるんだ」
「背を伸ばして、銃口がぶれないように」
「大丈夫、僕がついてる」
撃って、と言われて、怖くなって、焦って。そんな手じゃ到底引き金を引けるわけもなくて。ケビンの指が重なって、ぐっと押し込まれた。弾けるような銃弾の音がいつまでも耳の中で響いて、途端に血が広がる床にへたり込んでしまう。後ろに立っていたケビンは冷静に血の海から銃弾を拾い上げて、どこからともなく現れた黒服の男達に指示していた。
「…とりあえず、初任務お疲れ様」
「実践的なことはこれから慣れていけばいいさ」
銃弾が放たれる音が耳にこびりついて離れない。手についた生ぬるい血液と、狭い室内に充満する鉄の匂いが、目の前のもう動かない人間が生きていた―自分が殺してしまった何よりの証拠だった。
819「背を伸ばして、銃口がぶれないように」
「大丈夫、僕がついてる」
撃って、と言われて、怖くなって、焦って。そんな手じゃ到底引き金を引けるわけもなくて。ケビンの指が重なって、ぐっと押し込まれた。弾けるような銃弾の音がいつまでも耳の中で響いて、途端に血が広がる床にへたり込んでしまう。後ろに立っていたケビンは冷静に血の海から銃弾を拾い上げて、どこからともなく現れた黒服の男達に指示していた。
「…とりあえず、初任務お疲れ様」
「実践的なことはこれから慣れていけばいいさ」
銃弾が放たれる音が耳にこびりついて離れない。手についた生ぬるい血液と、狭い室内に充満する鉄の匂いが、目の前のもう動かない人間が生きていた―自分が殺してしまった何よりの証拠だった。
夜星Δ
DOODLEケビスウの探偵パロ 支部にまとめて乗せるまでの置き場探偵パロ いつも通りの警察隊。いつも通りの一日。いつも通り出勤して、上司のスウ先生に挨拶をして、仕事に取り掛かる。毎日睨めっこしても片付かない書類の束を整理しながら、誰も自分を見ていないか辺りを見回す。束の中に隠れる数枚の書類を別の部署まで確認するふりをして、ぐしゃりとポケットの中にしまい込んだ。これは最近増えた仕事の一つだ。
その足で給湯室に向かい、二杯の珈琲を淹れ始める。かかっている時計が指し示している時刻は十時半ぴったり。この時間になると、上司のスウ先生は決まって珈琲を飲む。こうして先生の一番近くでサポートするのは、唯一と言っていいほど好きな仕事だった。
所狭しと書類が並ぶ先生のデスクで、毎日開けられている写真立ての近くにカップを置く。ここに置けば必ずその場で飲んでくれることを知っているのも、自分だけだ。
3298その足で給湯室に向かい、二杯の珈琲を淹れ始める。かかっている時計が指し示している時刻は十時半ぴったり。この時間になると、上司のスウ先生は決まって珈琲を飲む。こうして先生の一番近くでサポートするのは、唯一と言っていいほど好きな仕事だった。
所狭しと書類が並ぶ先生のデスクで、毎日開けられている写真立ての近くにカップを置く。ここに置けば必ずその場で飲んでくれることを知っているのも、自分だけだ。