カミヤ
DONEホロウ後日談後、色々あって恋人同士で過ごすと決めたランバゼの日常。pixivにも上げるけど先にこっち上げておく。直接描写はないけど R15注意。
誰も知らない朝に微笑んで「山デート?」
夕方の商店街・マウント深山の一角で、私はライダー・キャスターと立ち話をしていた。日本人ではない風貌が目を引くのか、通行人が遠巻きに視線を送っている。
「先日、ランサーと話をしていて。お互いに山はさほど馴染みがないため決まったんです」
「山、ですか。場所の見当は?」
骨董品屋の店番を抜けてきたライダーが眼鏡の縁を持ち上げた。
「それが……思い当たる場所が、ことごとく行きづらい場所で」
「そうね、確かに柳洞寺の周辺はデート向きではないわね。悩むくらいなら海沿いにでも行きなさいよ」
買い物かごを提げた柳洞寺の奥様、もといキャスターが流暢にデートプランを提案し始める。
「海浜公園あたりなら、フレアスカートに華奢なサンダルを履いて、帽子はつばの広いものがいいわね。私もついこの間宗一郎様とそんな装いで足を伸ばしてみたのだけど、思いの外風が強い日だったのよね。そうしたら、宗一郎様がさりげなく風よけになってくれて……」
5453夕方の商店街・マウント深山の一角で、私はライダー・キャスターと立ち話をしていた。日本人ではない風貌が目を引くのか、通行人が遠巻きに視線を送っている。
「先日、ランサーと話をしていて。お互いに山はさほど馴染みがないため決まったんです」
「山、ですか。場所の見当は?」
骨董品屋の店番を抜けてきたライダーが眼鏡の縁を持ち上げた。
「それが……思い当たる場所が、ことごとく行きづらい場所で」
「そうね、確かに柳洞寺の周辺はデート向きではないわね。悩むくらいなら海沿いにでも行きなさいよ」
買い物かごを提げた柳洞寺の奥様、もといキャスターが流暢にデートプランを提案し始める。
「海浜公園あたりなら、フレアスカートに華奢なサンダルを履いて、帽子はつばの広いものがいいわね。私もついこの間宗一郎様とそんな装いで足を伸ばしてみたのだけど、思いの外風が強い日だったのよね。そうしたら、宗一郎様がさりげなく風よけになってくれて……」
カミヤ
REHABILI何年かぶりのランバゼです。pixivで書いてる話みたく、魔力供給はしているけれど元主従関係止まりの関係です。
SSが溜まったらpixivにアップします。
名残「じゃあな」
館に泊まりに来た翌朝、貴方はバイトがあるからと原色のアロハシャツを羽織って玄関で背を向ける。
仕事があるのなら仕方ないけれど、ない日の貴方は「そろそろ行くわ」と片手をひらひらさせる。埠頭で釣りをするか、はたまた私の知らない行き先があるのか。
英霊(サーヴァント)の貴方が睡眠をとることはない。
故に、私がくたびれて眠る傍らで、貴方が何を考えているのか知る由もない。
目覚めて、適当な朝食を摂って、身支度を終えたら貴方が出ていくのを見送る。
恋人などという甘やかな響きは、私たちには無縁だ。だけどいつも、錯覚しそうになる。
射抜く眼差しも、大きな手のひらも、厚い身体の重みもーー私を心から想ってもたらしてくれているのだと。
887館に泊まりに来た翌朝、貴方はバイトがあるからと原色のアロハシャツを羽織って玄関で背を向ける。
仕事があるのなら仕方ないけれど、ない日の貴方は「そろそろ行くわ」と片手をひらひらさせる。埠頭で釣りをするか、はたまた私の知らない行き先があるのか。
英霊(サーヴァント)の貴方が睡眠をとることはない。
故に、私がくたびれて眠る傍らで、貴方が何を考えているのか知る由もない。
目覚めて、適当な朝食を摂って、身支度を終えたら貴方が出ていくのを見送る。
恋人などという甘やかな響きは、私たちには無縁だ。だけどいつも、錯覚しそうになる。
射抜く眼差しも、大きな手のひらも、厚い身体の重みもーー私を心から想ってもたらしてくれているのだと。