yayosan_P
MOURNINGシノとヒース(とファウストとネロ)の話です。まだほやくんに触って1か月くらいで、イベストをほとんど読めてない状態で書いたやつですが勢いが気に入っています。
色々あって某所からお引越し再掲。
カプ要素はないけどいつものシノだなぁ要素はあります。
半世紀先の追憶 目の前に広がる光景を前に、心の声のまま「珍しいな」と口にする。ふふんと得意げに口角を上げながら「だろう?」と返した子どもの手に収められていたのは実技科目で使うような魔道具ではなく、魔法に関する学問書だ。
ファウストが日頃の講義で使うものとは違う。真新しさは感じられずに若干の古めかしささえ覚えるそれは、おそらく魔法舎に保管されている蔵書の中から引っ張り出されたものだろう。隙あらば座学に対する文句を垂れて、実技への転向を求める男が持つにはあまり似付かわしくもない。
そもそも場所だって、意外性が多く含まれている場所だった。魔法舎にあるこの空き部屋は東の国の面々が授業に使うことが多く、真面目なヒースクリフや授業の用意を必要とするファウストであればともかくとして、それ以外の人物が寄り付くことは滅多にないはずなのだ。
16902ファウストが日頃の講義で使うものとは違う。真新しさは感じられずに若干の古めかしささえ覚えるそれは、おそらく魔法舎に保管されている蔵書の中から引っ張り出されたものだろう。隙あらば座学に対する文句を垂れて、実技への転向を求める男が持つにはあまり似付かわしくもない。
そもそも場所だって、意外性が多く含まれている場所だった。魔法舎にあるこの空き部屋は東の国の面々が授業に使うことが多く、真面目なヒースクリフや授業の用意を必要とするファウストであればともかくとして、それ以外の人物が寄り付くことは滅多にないはずなのだ。
柚月@ydk452
DONEヒス晶♂SS雨の日の朝目を覚ますと、ほんの少しの寒さが晶を迎えた。いつもの時間よりも早くて、どうして目覚めてしまったのだろうかと考えるも、すぐに答えが出る。
(あ…雨だ…。)
窓ガラスに当たる音は優しく、曇天が作り出す暗がりのせいか、世界に閉じ込められた気分になった。なんとなく外の空気を吸ってみたくなり、ベッドから起き上がる。素足を通して感じる床の冷たさは、ほんの一瞬だけ。ゆっくりと窓ガラスを開けると、思い通りの湿った空気が部屋を満たした。雨粒が当たる音は不規則だが、木々や葉から垂れる時、はたまた屋根から落ちる際は一定だ。どこかから蛙の鳴く声もするし、羽を休めて歌っている鳥もいる。
この世界に来て、こんなにも自然を感じる事ができるなんて。元の世界では憂鬱でしかなかった事象も、今や歓迎するまでになっている。
2830(あ…雨だ…。)
窓ガラスに当たる音は優しく、曇天が作り出す暗がりのせいか、世界に閉じ込められた気分になった。なんとなく外の空気を吸ってみたくなり、ベッドから起き上がる。素足を通して感じる床の冷たさは、ほんの一瞬だけ。ゆっくりと窓ガラスを開けると、思い通りの湿った空気が部屋を満たした。雨粒が当たる音は不規則だが、木々や葉から垂れる時、はたまた屋根から落ちる際は一定だ。どこかから蛙の鳴く声もするし、羽を休めて歌っている鳥もいる。
この世界に来て、こんなにも自然を感じる事ができるなんて。元の世界では憂鬱でしかなかった事象も、今や歓迎するまでになっている。
unhkiss
DONE北祝祭。帰ってこない賢者一行が心配なヒースとクロエ。眠れぬ夜の秘密の二人ベッドの中でヒースクリフはゆっくりと目を開いた。ぱちぱちと瞬きをして、ヒースクリフは寝返りを打つ。
横向きの姿勢になったヒースクリフはじっと窓の辺りを凝視した。
部屋は真っ暗でカーテンに覆われている窓の外も明るくなってはいない。日の出まではずいぶん時間がありそうだった。
(……眠れない)
昼間の内にカナリアが洗濯して干してくれたシーツや掛け布からはお日様の匂いがする。たっぷりと陽光を吸い込んだ寝具は、ヒースクリフの体を繭のように包み込んでくれていた。
そのやわらかなぬくもりは、いつもならヒースクリフを穏やかな眠りに誘ってくれる。
けれど今日は少しも効果を発揮してくれない。
胸の奥がざわざわして、目は冴えるばかりで、ヒースクリフはちっとも眠れそうになかった。
6113横向きの姿勢になったヒースクリフはじっと窓の辺りを凝視した。
部屋は真っ暗でカーテンに覆われている窓の外も明るくなってはいない。日の出まではずいぶん時間がありそうだった。
(……眠れない)
昼間の内にカナリアが洗濯して干してくれたシーツや掛け布からはお日様の匂いがする。たっぷりと陽光を吸い込んだ寝具は、ヒースクリフの体を繭のように包み込んでくれていた。
そのやわらかなぬくもりは、いつもならヒースクリフを穏やかな眠りに誘ってくれる。
けれど今日は少しも効果を発揮してくれない。
胸の奥がざわざわして、目は冴えるばかりで、ヒースクリフはちっとも眠れそうになかった。