Recent Search
    Create an account to bookmark works.
    Sign Up, Sign In

    #いていな0528

    no.0528

    13_rooms

    DONEムルの悪戯で右眼が石になったファウストと、石になった彼の右眼を磨いてあげるネロの話(ネロファウ)
    ------------------------------
    ファウスト&ネロ全関係性内包Webオンリー『隣にいてもいなくても』開催おめでとうございます!
    Sweet Child O'Mine 朝おきたら、右眼が石になっていた。目蓋のおくがやけに腫れぼったくて重たく感じる。瞬きをすると睫毛が冷たい。新雪に触れたようだ。さすがに面食らって談話室へ降りていくと、おはよう、といったクロエの耳が綺麗な真珠貝になっていた。彼の隣で紅茶を淹れながら、ラスティカが真珠と海の歌をくちずさんでいる。白磁のティカップに触れた小指は、よくみれば青ざめたサファイアだ。どうやらムルの悪戯が原因らしい。
    「あの野良猫には後できつくいって聞かせますので」
     シャイロックはそう微笑んで、ゆったりとした仕草で煙管をひとくち飲んだ。美しい彫り物のされたそこを、ルビーの爪先が撫ぜる。言葉とは裏腹に、彼はこの状況を楽しんでさえいるようだった。相変わらず、西の魔法使いたちは不可解だ。これからお茶会だという彼らに丁重に断りをいれ、部屋にこもる算段をはじめる。呪いの類でないなら僕の専門外だし、なにより、あのムルが仕掛けたものに手をだすほど馬鹿じゃない。火花に手を突っこむようなものだ。それなら自室で嵐が過ぎるのを待つほうがいい。
    3092