フォル学(オーエン)「ずいぶん仲良しなんだね、引きこもりの元生徒会長様と」
僕がそう言ったときのネロの顔ったらなかった。
屋上に行こうと思ったら、その階段から降りてくるネロとばったり会ったのだ。焦っている顔があまりにも愉快だったので追い打ちもかけてみる。
「今日も空き教室で密会なの?」
「そんなあやしいのじゃねぇって!その……ただ勉強教えてもらうだけで……」
「へえ?」
ネロは低くなった僕の声を正しく受け取って(つまり、ミスラとブラッドリーに告げ口するよ?その新しいお友達にもついでにお礼参り行こうかなというような意味合いである)動揺のあまり一冊教科書を落としたのを拾い上げながらよろよろと言い訳をする。
階段の窓から差し込む夕日が、あの糖蜜色の瞳より少し濃い琥珀色のネロの瞳に差し込んで、狼みたいに瞳がきゅうと鋭くなる。僕はちょっとだけそれに見とれた。ブラッドリーはこれが好きなのかな。
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