ura_pd
DONE機関軸たざかみ。全年齢です。追憶展のフォトミラーの衝撃が未だに収まっていなかったのですが、とある近代建築を見学したときにネタが降ってきたので書きました。
「一般的に仕切り組と言われているが、うらが書くとまるで仕切る気のない神永になる」「三好が結構可哀想なことになっている」点が大丈夫な方はお楽しみいただけると嬉しいです。
豪奢な装飾が施された漆喰天井は、古代オリンピアンの勝者に被せられたという月桂樹の冠を彷彿とさせた。
その下、広い絨毯敷きの上を行き交う仲間たちに普段見慣れない黒い尾っぽが生えていると、神永は密かに可笑しがりつつ眺めていた。
きっと誰しもが同じことを考えている筈だ。全員燕尾服を着ているのだから。
彼らは偽装上の勤務先である、大東亞文化協會の周年パーティー会場にいた。新京や京城といった外地に置かれている支部の人間も招いて会場を借り切っている。ここで恙無く職員として振る舞うのも、訓練のうちだった。
時刻は各支部の代表たちの挨拶が始まる頃になろうとしている。だが誰か足りない気がする、と丁度考えていたところ、「神永」と三好が耳打ちしてきた。
1746その下、広い絨毯敷きの上を行き交う仲間たちに普段見慣れない黒い尾っぽが生えていると、神永は密かに可笑しがりつつ眺めていた。
きっと誰しもが同じことを考えている筈だ。全員燕尾服を着ているのだから。
彼らは偽装上の勤務先である、大東亞文化協會の周年パーティー会場にいた。新京や京城といった外地に置かれている支部の人間も招いて会場を借り切っている。ここで恙無く職員として振る舞うのも、訓練のうちだった。
時刻は各支部の代表たちの挨拶が始まる頃になろうとしている。だが誰か足りない気がする、と丁度考えていたところ、「神永」と三好が耳打ちしてきた。
mu____zi
DONE課(特に付き合ってない)たざかみ、愛と地獄の新婚旅行編たざかみの日のプリズンなブレイクの続編です。
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波間の揺れる一面のコバルトブルー。神永は海の真ん中、木製の小洒落た桟橋の上に立っている。頬を撫でる風に目を細めて、はて。──どうしてこうなった。と、隣で柔らかく微笑む田崎の顔面を見つめながら、答えのない疑問を脳裏に過らせた。
さて、神永が水上飛行機から桟橋に降機したのは、ほんの1分ほど前の話である。桟橋の専用プラットホームに横付けされたその飛行機に乗り込んだのは、大凡1時間ほど前だっただろうか。因みに、小型水上飛行機へ乗り込むより前の、南国の国際空港に到着したのは3時間ほど前のことで、神永が日本で旅客機に乗り込んだのはそれより更に約15時間前だ。
この土地に降り立つまでに既に半日以上が経過し、神永の凝り固まった背筋は慣れない疲労を訴えていた。しかし、神永の疲弊は肉体的よりも寧ろ精神的な部分にある。開放的な南国の土地に降り立った人間にしては些か場違いだろう。とはいえ、神永はそんな疲弊の断片を顔色に滲ませることなく、口角を緩めてながら極上の幸福に溢れたバスタブに浸かった顔をする。順風満帆で、今まさに世界が終わりを告げても尚、隣にこの男がいてくれるのなら後悔などない、という顔である。
24017波間の揺れる一面のコバルトブルー。神永は海の真ん中、木製の小洒落た桟橋の上に立っている。頬を撫でる風に目を細めて、はて。──どうしてこうなった。と、隣で柔らかく微笑む田崎の顔面を見つめながら、答えのない疑問を脳裏に過らせた。
さて、神永が水上飛行機から桟橋に降機したのは、ほんの1分ほど前の話である。桟橋の専用プラットホームに横付けされたその飛行機に乗り込んだのは、大凡1時間ほど前だっただろうか。因みに、小型水上飛行機へ乗り込むより前の、南国の国際空港に到着したのは3時間ほど前のことで、神永が日本で旅客機に乗り込んだのはそれより更に約15時間前だ。
この土地に降り立つまでに既に半日以上が経過し、神永の凝り固まった背筋は慣れない疲労を訴えていた。しかし、神永の疲弊は肉体的よりも寧ろ精神的な部分にある。開放的な南国の土地に降り立った人間にしては些か場違いだろう。とはいえ、神永はそんな疲弊の断片を顔色に滲ませることなく、口角を緩めてながら極上の幸福に溢れたバスタブに浸かった顔をする。順風満帆で、今まさに世界が終わりを告げても尚、隣にこの男がいてくれるのなら後悔などない、という顔である。