想歌そか
DONEお題:雨宿り、「誤解がないように言うが、」熱は結局三十八度九分まで上がった。 ざあざあ、ぱちぱち。
雨の音、それから雫がビニールに当たって弾ける音が響く。
本日月末の土曜日。霊とか相談所は休業である。霊幻が風邪を引いた為だ。エクボはいつもの都合のいい男の身体を借りて、霊幻のアパートへ向かうところであった。
自分の事を蔑ろにしがちな所長だとは思っていたが、昨日の土砂降りで茂夫に傘を貸して自分が風邪を引いている霊幻のことを考えると、最早ただの馬鹿だとしか思えない。
自らを大事にしない霊幻に対して苛立ちを覚えながら道を曲がる。そこは霊幻がよく行くコンビニ。そして、店先で真っ赤な顔で雨宿りをしているらしい霊幻の姿。
「……おい。」
「うわっ、エクボか。びっくりした。」
「お前さん、なんでこんな所にいる?馬鹿だ馬鹿だとは思っていたが、床に臥せっている間大人しくも出来ねえ馬鹿だなんてな。」
3332雨の音、それから雫がビニールに当たって弾ける音が響く。
本日月末の土曜日。霊とか相談所は休業である。霊幻が風邪を引いた為だ。エクボはいつもの都合のいい男の身体を借りて、霊幻のアパートへ向かうところであった。
自分の事を蔑ろにしがちな所長だとは思っていたが、昨日の土砂降りで茂夫に傘を貸して自分が風邪を引いている霊幻のことを考えると、最早ただの馬鹿だとしか思えない。
自らを大事にしない霊幻に対して苛立ちを覚えながら道を曲がる。そこは霊幻がよく行くコンビニ。そして、店先で真っ赤な顔で雨宿りをしているらしい霊幻の姿。
「……おい。」
「うわっ、エクボか。びっくりした。」
「お前さん、なんでこんな所にいる?馬鹿だ馬鹿だとは思っていたが、床に臥せっている間大人しくも出来ねえ馬鹿だなんてな。」
想歌そか
DONEエク霊ドロライお題 「猫」「しばらく、ついててくれないか。」
ねことわがままねことわがまま
「……猫?」
にゃぁ、と細い声が鳴った。霊幻はスーツが汚れるのを一瞬躊躇ったが、犬派とはいえ猫だって可愛い。可愛がってやろうとその場にしゃがみこむ。
「はは、人馴れしてんなお前。どこの子だ?」
わしゃわしゃと猫を撫で回す。嬉しそうにゴロゴロと喉を鳴らす猫の姿を見て、俺もこうなれたら、と少し考えてしまう。
それは、恋人であるエクボとの事だ。
「……お前さん何してんだ。」
「あ?エクボか。」
今俺はこの悪霊と恋人関係にある。どうしてこうなったか、考えてみても奇跡としか言いようがない。だってそうだろう、悪霊を自称しておいて面倒見が良く大人なエクボと、画して薄っぺらい言葉ばかり並べ、本心を隠す子供っぽい自分。
4365「……猫?」
にゃぁ、と細い声が鳴った。霊幻はスーツが汚れるのを一瞬躊躇ったが、犬派とはいえ猫だって可愛い。可愛がってやろうとその場にしゃがみこむ。
「はは、人馴れしてんなお前。どこの子だ?」
わしゃわしゃと猫を撫で回す。嬉しそうにゴロゴロと喉を鳴らす猫の姿を見て、俺もこうなれたら、と少し考えてしまう。
それは、恋人であるエクボとの事だ。
「……お前さん何してんだ。」
「あ?エクボか。」
今俺はこの悪霊と恋人関係にある。どうしてこうなったか、考えてみても奇跡としか言いようがない。だってそうだろう、悪霊を自称しておいて面倒見が良く大人なエクボと、画して薄っぺらい言葉ばかり並べ、本心を隠す子供っぽい自分。
想歌そか
DOODLEエク霊ワンライです。 #エク霊2weekドロライ除霊と嘘 霊幻はひとり、電車に揺られていた。本日急遽霊とか相談所に持ち込まれた依頼のためである。
曰く、息子の様子がおかしいので除霊に来て欲しいとのこと。
(これはカウンセリングコースかなあ……。)
霊幻は車内でため息をつくと、いつも使っている駅から五駅ほど離れたところで電車を降りたのだった。
かつかつと革靴を鳴らし、目的の家まで歩を進める。今日はモブも芹沢も休みで、エクボもいない。もし本物だったら、と考えなくはなかったが、まあ適当に捲し立てて後日改めて、という形で進めれば良いだろうと楽観的に考えていた。
ぴんぽん、と子気味良い音を立てる呼び鈴を鳴らし、早速依頼者と顔合わせをする。
「あらあら、霊幻先生!わざわざすみませんねぇ!」
4301曰く、息子の様子がおかしいので除霊に来て欲しいとのこと。
(これはカウンセリングコースかなあ……。)
霊幻は車内でため息をつくと、いつも使っている駅から五駅ほど離れたところで電車を降りたのだった。
かつかつと革靴を鳴らし、目的の家まで歩を進める。今日はモブも芹沢も休みで、エクボもいない。もし本物だったら、と考えなくはなかったが、まあ適当に捲し立てて後日改めて、という形で進めれば良いだろうと楽観的に考えていた。
ぴんぽん、と子気味良い音を立てる呼び鈴を鳴らし、早速依頼者と顔合わせをする。
「あらあら、霊幻先生!わざわざすみませんねぇ!」