60_chu
DOODLE過去作キンプリのシンルヰ
シグナル「ルヰくん、赤だよ」
左手首にシンの指が絡んだ。街の道路は夜でも明るい。橙と銀色の街灯がずっと先まで並んでいる。冬の空気は澄んでいて遠くの明かりまでくっきりと見渡せた。
「危ないよ」
シンは指に力をこめるとゆっくりとぼくの腕をふった。車も人もほとんど道にいない。川べりで話し込んでしまったぼくたちを置いて、あっというまに夕陽は沈んでしまった。だから危なくなんてないのに。それでもシンはぼくを歩道につなぎとめている。
この世界には誰もいないのに信号を守る人と守らない人がいる。シンは守る人なんだけれど、それはすごくシンらしいことなのだと思う。彼の瞳と煌々とした電灯が同じ色で輝いている。
「ありがとう」
微笑んで横に並ぶ。シンは照れたように軽くうなずくと、指をほどいた。とっさに離れそうになる指を掴んで手のひらでつかまえた。ぼくはさっきのシンのように手首をにぎりしめた。シンは小さく驚いた声をあげたけれど、知らんぷりをしてしまった。これは意地悪に入るのかな。
1064左手首にシンの指が絡んだ。街の道路は夜でも明るい。橙と銀色の街灯がずっと先まで並んでいる。冬の空気は澄んでいて遠くの明かりまでくっきりと見渡せた。
「危ないよ」
シンは指に力をこめるとゆっくりとぼくの腕をふった。車も人もほとんど道にいない。川べりで話し込んでしまったぼくたちを置いて、あっというまに夕陽は沈んでしまった。だから危なくなんてないのに。それでもシンはぼくを歩道につなぎとめている。
この世界には誰もいないのに信号を守る人と守らない人がいる。シンは守る人なんだけれど、それはすごくシンらしいことなのだと思う。彼の瞳と煌々とした電灯が同じ色で輝いている。
「ありがとう」
微笑んで横に並ぶ。シンは照れたように軽くうなずくと、指をほどいた。とっさに離れそうになる指を掴んで手のひらでつかまえた。ぼくはさっきのシンのように手首をにぎりしめた。シンは小さく驚いた声をあげたけれど、知らんぷりをしてしまった。これは意地悪に入るのかな。