彼岸花ユエ
MOURNING壁打ちから移植。ジクメレハッピーな話 持ち帰ったカタログをめくりどれが良いかと聞いても彼女の返事は今一つ、女性に人気で海外のセレブも愛用してるという高級アクセサリーショップと聞いていたのに彼女はお気に召さない様だ。どうしたもんかと悩んでいたら件の彼女は部屋に飾っていたクリスタルを掲げた。それは自分の地元でよく採れる鉱石で透明度が高く太陽の光を浴びてきらきらと輝く、一つ違うのは自室に飾っていたのはこの鉱石にしては珍しく色がついた代物で、エメラルドグリーンに太陽の光が当てられ湖面の様に輝く。だからと言って特別高価な物でも無い、学生がアルバイトをして貯めたお金で買える程度である。それを空に掲げると、クリスタルから発せられる煌めきに目を細め彼女は自分に微笑んだ。
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MOURNING壁打ちからの移植。現代まで生きたジークの話(ジクメレ) いつだか彼女に『ワイより先に死ぬか、後に死ぬかどちらが良いか?』と聞いた、いつもの調子で呆れて、返って来るのは溜め息かと思えば『お前より後だ』と返ってきた。彼女らしく真面目で、彼女にしては夢見がちな返答に素直に興味が湧く、理由を聞けば『散々お前に寝顔を見られているからな』と彼女は不敵に笑った。なら今夜もその寝顔を頂戴しようと細い腰に手を回せば、調子に乗るなと手をつねられた。
そんな思い出を、もう何度も、何度も、脳内の劇場で映している。幾度となく回されたにも関わらず、記憶というフィルムは薄れない。それを喜ぶべきか、悲しむべきか。判断するには長い年月が経ってしまった。
色褪せない記憶に逆らうように、世界は変わっていく。眼帯を取り、剣を外し、ぼろぼろのマントを脱いで外見だけでも世界に溶け込む。それでも変わらない、変えられない記憶が彼を置いて世界は変化していく。
595そんな思い出を、もう何度も、何度も、脳内の劇場で映している。幾度となく回されたにも関わらず、記憶というフィルムは薄れない。それを喜ぶべきか、悲しむべきか。判断するには長い年月が経ってしまった。
色褪せない記憶に逆らうように、世界は変わっていく。眼帯を取り、剣を外し、ぼろぼろのマントを脱いで外見だけでも世界に溶け込む。それでも変わらない、変えられない記憶が彼を置いて世界は変化していく。