聖龍@どや乳
完畢RKRN怪談webオンリー「忍夜百物語」の掲載作品微妙に前回の話 https://poipiku.com/667625/12115286.html の続きです。
ついうっかり自分基準で配慮がすっぽ抜けてしまう雑渡さんの本当にあった怖い話(何)
本当にあった怖い話忍術学園の医務室は、夏の午後の柔らかな光に照らされ、乾燥させた薬草の匂いがほのかに漂っていた。
匂いの元となった薬草が乗った干し籠から、保健委員会の良い子達が慣れた手つきで選り分け、手が空いた子は包帯の巻き直しに勤しむ中、私は忙しい任務の合間をぬってふらりと立ち寄った。
伊作くんが恋人になってから、この医務室を訪れる機会が増えた。
いや、正確には少しでもいいから恋人の顔を見たくて、足が自然と向いてしまうのだ。
こうして付き合う前は、伊作くんからの熱烈な告白を断り、迫られても逃げ続けた身としては現金な限りだが、手を取ったからには伊作くんとの関係を心から大切にする事にしたのだ。
しかし今日はそんな穏やかな気分を少し裏切る展開になった。
2147匂いの元となった薬草が乗った干し籠から、保健委員会の良い子達が慣れた手つきで選り分け、手が空いた子は包帯の巻き直しに勤しむ中、私は忙しい任務の合間をぬってふらりと立ち寄った。
伊作くんが恋人になってから、この医務室を訪れる機会が増えた。
いや、正確には少しでもいいから恋人の顔を見たくて、足が自然と向いてしまうのだ。
こうして付き合う前は、伊作くんからの熱烈な告白を断り、迫られても逃げ続けた身としては現金な限りだが、手を取ったからには伊作くんとの関係を心から大切にする事にしたのだ。
しかし今日はそんな穏やかな気分を少し裏切る展開になった。
聖龍@どや乳
完畢RKRN怪談webオンリー「忍夜百物語」の掲載作品ホラー作品のため、9月忍FESの新刊書下ろしから一部抜粋しました。
先行公開です。
百物語は室町から始まった文化だそうで、一ろのみんなはきっと好きそうだなと思って考えました。
付き合っている雑伊の話。
医務室にいる夏の暑さがようやく和らぎ始めた黄昏時、忍術学園の医務室は夕暮れのオレンジ色の光に染まっていた。
窓の外ではひぐらしの声が響き、時折裏山から吹き下ろす風が髪を揺らした。
今日、保健委員会の当番だった僕は、医務室内の薬の整理をしながら、同じく当番の伏木蔵と話をしていた。
「伊作先輩、実は今度ろ組のみんなと百物語をするんですよぉ? もし良かったら何かゾクッとするようなスリル〜なお話を教えてくれませんかぁ?」
煎じた薬や乾燥させた薬草を挟んだ油紙を丁寧に片付けながら、伏木蔵が目をキラキラさせて言う。
伏木蔵の言う「ろ組」とは、一年ろ組の日陰ぼっこが好きな生徒達だ。
確かに百物語にはぴったりの面子だなと思いながら、僕は少し考え込んだ。
7235窓の外ではひぐらしの声が響き、時折裏山から吹き下ろす風が髪を揺らした。
今日、保健委員会の当番だった僕は、医務室内の薬の整理をしながら、同じく当番の伏木蔵と話をしていた。
「伊作先輩、実は今度ろ組のみんなと百物語をするんですよぉ? もし良かったら何かゾクッとするようなスリル〜なお話を教えてくれませんかぁ?」
煎じた薬や乾燥させた薬草を挟んだ油紙を丁寧に片付けながら、伏木蔵が目をキラキラさせて言う。
伏木蔵の言う「ろ組」とは、一年ろ組の日陰ぼっこが好きな生徒達だ。
確かに百物語にはぴったりの面子だなと思いながら、僕は少し考え込んだ。