fucororian
DONE #狂聡ワンドロライ参加作品。4520。まだ付き合ってない二人。ワンライ お題:世界が終わる日 聡実からの好意をのらりくらりと躱すのもそろそろ限界なのかもしれなかった。待ち合わせた駅前で顔を合わせた時も、食事中も、彼はひどく思い詰めた顔をしていた。狂児が他愛ない会話に誘い込もうとしても、いつも以上にそっけない返事を寄越して、そのくせ何か言いたげな目でじっとこちらを見ていた。
食事を終え、駅へ向かう道すがらも聡実は黙りがちだった。元々おしゃべりな性質ではないし、沈黙が苦痛になる間柄でも無いが、今日の無言は意味のある無言に感じられて、狂児は密かに身構えていた。だから「ほな、またね」と言い置いて立ち去ろうとした時、引き留めるようにスーツの袖口を掴まれても驚かなかった。
「狂児さん、まだ覚悟決まりませんか」
3858食事を終え、駅へ向かう道すがらも聡実は黙りがちだった。元々おしゃべりな性質ではないし、沈黙が苦痛になる間柄でも無いが、今日の無言は意味のある無言に感じられて、狂児は密かに身構えていた。だから「ほな、またね」と言い置いて立ち去ろうとした時、引き留めるようにスーツの袖口を掴まれても驚かなかった。
「狂児さん、まだ覚悟決まりませんか」
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DONE #狂聡ワンドロライ参加作品。学パロ。高校一年生の二人です。まだ付き合ってない。お題:学パロ「聡実くん、おはよお」
横合いからかけられた声を綺麗に黙殺して、聡実は上靴に履き替えた。声の主には一瞥もくれず、まっすぐに前だけを見て教室へと向かう。聡実が決して返事をしないのがわかっているだろうに、相手はしつこく「なあなあ聡実くん、聡実くん」と話しかけてくる。こんな状態がここ一ヶ月ほど続いていて、さすがに聡実もうんざりとしてきていた。
やたらに存在感のある男を無視するのは骨が折れる。教室の手前で友人の姿を見つけた時には、これで意識をよそに向けられるとほっとした。
「おはよ、丸山」
「おー、おはよー! 岡!」
丸山の屈託ない笑顔を見ると、とげとげしい気分が少しばかり和らいだ。だが、彼の屈託のなさは聡実に対してだけ発揮されるわけではない。丸山は当然のように、聡実の背後にいるでかい図体の持ち主にも拘りなく笑いかけた。
5291横合いからかけられた声を綺麗に黙殺して、聡実は上靴に履き替えた。声の主には一瞥もくれず、まっすぐに前だけを見て教室へと向かう。聡実が決して返事をしないのがわかっているだろうに、相手はしつこく「なあなあ聡実くん、聡実くん」と話しかけてくる。こんな状態がここ一ヶ月ほど続いていて、さすがに聡実もうんざりとしてきていた。
やたらに存在感のある男を無視するのは骨が折れる。教室の手前で友人の姿を見つけた時には、これで意識をよそに向けられるとほっとした。
「おはよ、丸山」
「おー、おはよー! 岡!」
丸山の屈託ない笑顔を見ると、とげとげしい気分が少しばかり和らいだ。だが、彼の屈託のなさは聡実に対してだけ発揮されるわけではない。丸山は当然のように、聡実の背後にいるでかい図体の持ち主にも拘りなく笑いかけた。
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DONE #狂聡ワンドロライ参加作品。4520くらい?付き合ってます。ワンライお題:嫉妬 高校時代の友人から電話がかかってきた時、聡実は夕飯の食材を切り始めたところだった。料理しながらでいいなら、と断ってからの会話は、これといって内容のない、とりとめのないものだったが、それがかえって懐かしい気持ちを思い起こさせた。
高校を卒業して数年が経ち、お互いに変わった部分と変わらない部分がある。中身のない会話をだらだらといくらでも続けられそうなところは変わらないが、友人は聡実が自炊をしていることを大きな変化と受けとって、ひどく驚いていた。
「大丈夫かぁ? 手ぇ切ってへん?」
「そんな不器用とちゃうわ」
「聡実は不器用やないかもやけど、それを上回って雑やんか」
これについては返す言葉がなかった。聡実の料理に対しての同居人の評価は、最大限の賛辞の場合でも「豪快やけど美味いよ」だ。
2943高校を卒業して数年が経ち、お互いに変わった部分と変わらない部分がある。中身のない会話をだらだらといくらでも続けられそうなところは変わらないが、友人は聡実が自炊をしていることを大きな変化と受けとって、ひどく驚いていた。
「大丈夫かぁ? 手ぇ切ってへん?」
「そんな不器用とちゃうわ」
「聡実は不器用やないかもやけど、それを上回って雑やんか」
これについては返す言葉がなかった。聡実の料理に対しての同居人の評価は、最大限の賛辞の場合でも「豪快やけど美味いよ」だ。