イナミ
DONE②6月連弾で発行予定のカヲシン新刊サンプル、その2。『僕たち結婚します!?』② 渚カヲル。
歳は七歳。だけど数ヶ月後には八歳になるというから、学年的にはシンジよりもひとつ上だ。
好きな食べ物――わからないけど、なんでもよく食べる。
嫌いな食べ物――多分なさそう。
得意な教科――算数。二年生なのにもう六年生で教わるような問題が解けるらしい。
趣味は……音楽?
ここ数日で仕入れた婚約者の情報を、シンジは頭の中でひとつひとつ確認していく。
なぜなら暇だからだ。
今日は平日。外は雨が降っているから、庭で遊ぶこともままならない。
まずはこの家に慣れることが大事だから、新しい小学校に行くのは九月からにして、それまでは家で家庭教師が勉強を教えましょう、ということになっている。
今日の分の勉強は午前中に全部終わってしまった。
8706歳は七歳。だけど数ヶ月後には八歳になるというから、学年的にはシンジよりもひとつ上だ。
好きな食べ物――わからないけど、なんでもよく食べる。
嫌いな食べ物――多分なさそう。
得意な教科――算数。二年生なのにもう六年生で教わるような問題が解けるらしい。
趣味は……音楽?
ここ数日で仕入れた婚約者の情報を、シンジは頭の中でひとつひとつ確認していく。
なぜなら暇だからだ。
今日は平日。外は雨が降っているから、庭で遊ぶこともままならない。
まずはこの家に慣れることが大事だから、新しい小学校に行くのは九月からにして、それまでは家で家庭教師が勉強を教えましょう、ということになっている。
今日の分の勉強は午前中に全部終わってしまった。
イナミ
DONE①6月連弾で発行予定のカヲシン新刊のサンプルをこちらで先行公開してみます。長いので、いくつかに分割して投稿予定。
『僕たち結婚します!?』① ―1-
「三日以内に、すべての荷物をまとめておきなさい」
七歳の誕生日の前日、久しぶりに声を聞いた父から、電話越しにそう告げられた時、とうとう自分は捨てられるのだと思った。
「……っく、ひっく……ひ……」
途切れ途切れのすすり泣きが、森のように木が生い茂る豪邸の庭にかすかに響く。
太陽はまだ空のてっぺんあたりにいて、地上を眩しく照らしていたが、木の陰に隠れて膝を抱え込む少年の上には葉の影が落ちて、ほんのりと暗くなっていた。
今日は、一年ぶりに父に会う約束をしている日だった。
シンジが預けられていた家には運転手つきの車が迎えにきただけで、父の姿はまだ見ていないが、約束の時間はとうにすぎている。きっとあの大きなお屋敷にはすでに父が到着しているはずだ。
6179「三日以内に、すべての荷物をまとめておきなさい」
七歳の誕生日の前日、久しぶりに声を聞いた父から、電話越しにそう告げられた時、とうとう自分は捨てられるのだと思った。
「……っく、ひっく……ひ……」
途切れ途切れのすすり泣きが、森のように木が生い茂る豪邸の庭にかすかに響く。
太陽はまだ空のてっぺんあたりにいて、地上を眩しく照らしていたが、木の陰に隠れて膝を抱え込む少年の上には葉の影が落ちて、ほんのりと暗くなっていた。
今日は、一年ぶりに父に会う約束をしている日だった。
シンジが預けられていた家には運転手つきの車が迎えにきただけで、父の姿はまだ見ていないが、約束の時間はとうにすぎている。きっとあの大きなお屋敷にはすでに父が到着しているはずだ。