hasami_J
DOODLE1:https://poipiku.com/1036413/4637765.html2:https://poipiku.com/1036413/4672931.html
BJR二次創作。続きものなので1はリンク先をどうぞ。
盤外視座より黒不浄、火霞羅州、真名鶴の話。
これで終わりです。終われたー。
#BJRportfolioDay さんのお題より「箱持公園」「命短きもの」を使用。
箱持公園の首吊り死体(3) 桜の下には死体が埋まっている。
都市伝説として、数多の小説の題材として、多く用いられてきたこの一節は、元を辿れば明治から昭和にかけて活躍した文豪・梶井基次郎の短編小説である。この小説が文学史に残した影響は大きく、以後、桜を表す題材の一つとして、死体は度々物語や噂話の中で桜に添えられてきた。
……いや、それより以前から、人は桜の美しさの中に、死と衰退を垣間見ていたのは確かか。少なくとも、その下で死ぬことを選んだ歌人がその一人であったことは、疑いようがない。
実際は、桜は桜だし、死体は死体だ。紫陽花ではないのだから、桜の根の下に死体が埋まっていようといなかろうと、花の色に変化は生じない。そんなものだ。結局のところ、連想を共有し得る文化的教養の問題であろうと、黒不浄は思っている。
4195都市伝説として、数多の小説の題材として、多く用いられてきたこの一節は、元を辿れば明治から昭和にかけて活躍した文豪・梶井基次郎の短編小説である。この小説が文学史に残した影響は大きく、以後、桜を表す題材の一つとして、死体は度々物語や噂話の中で桜に添えられてきた。
……いや、それより以前から、人は桜の美しさの中に、死と衰退を垣間見ていたのは確かか。少なくとも、その下で死ぬことを選んだ歌人がその一人であったことは、疑いようがない。
実際は、桜は桜だし、死体は死体だ。紫陽花ではないのだから、桜の根の下に死体が埋まっていようといなかろうと、花の色に変化は生じない。そんなものだ。結局のところ、連想を共有し得る文化的教養の問題であろうと、黒不浄は思っている。
hasami_J
DOODLE1:https://poipiku.com/1036413/4637765.htmlBJR二次創作。続きものなので1はリンク先をどうぞ。
盤外視座より黒不浄、火霞羅州、真名鶴の話。
公式よりとっても仲良しな空気になってしまった。でも公式のノベルも大概仲良しだと思う。
#BJRportfolioDay さんのお題より「箱持公園」「命短きもの」を使用。
もう1つ2つ続く予定です。
箱持公園の首吊り死体(2) 午前四時から午前五時の間だけ、箱持公園の銀杏の下には死体がぶら下がっている。
死体は毎日ばらばらで、男の時もあれば女の時もあり、子供の時もあれば老人の時もある。まっとうな人間の時もあれば、非合法な行いに手を染めている者もいる。それらは皆、午前四時から午後五時の間だけ、箱持公園の銀杏の下に、首を吊った状態でぶら下がる。
それが実在する人物なのか、それとも公園が作り出した幻なのか。分からない。だって死体はどこにも残らず消えてしまうから。この街でどんな理由で人が消えるかだなんて、誰も調べる気にもならないから。
本格的な騒ぎになっていないのならば、相応の立場ある人間はその中にはいなかったのかもしれない。あるいはそれすら分からないのか、誰も調べる気にならないのか。
1951死体は毎日ばらばらで、男の時もあれば女の時もあり、子供の時もあれば老人の時もある。まっとうな人間の時もあれば、非合法な行いに手を染めている者もいる。それらは皆、午前四時から午後五時の間だけ、箱持公園の銀杏の下に、首を吊った状態でぶら下がる。
それが実在する人物なのか、それとも公園が作り出した幻なのか。分からない。だって死体はどこにも残らず消えてしまうから。この街でどんな理由で人が消えるかだなんて、誰も調べる気にもならないから。
本格的な騒ぎになっていないのならば、相応の立場ある人間はその中にはいなかったのかもしれない。あるいはそれすら分からないのか、誰も調べる気にならないのか。
hasami_J
DOODLEBJR二次創作。ものの見事にNPCだけの二次創作。盤外視座より黒不浄、火霞羅州、真名鶴の話。
話転がしの都合で公式より多少仲良しな空気になってしまった。
#BJRportfolioDay さんのお題より、「箱待公園」「命短きもの」を使用。
まだ続く予定です。
箱待公園の首吊り死体(1) 箱待公園の銀杏の木の下には死体がぶら下がっている。
よくある光景だ。この街では特に。
駅前に建ち並ぶ、取り壊し前の廃テナントにでも足を向ければ、森に潜む甲虫を見つけるぐらいの感覚で見つけられるだろうそれ。
よくある光景なのだ。この世界では特に。
その言葉の前に、「午前四時から午前五時の間だけ」という制限時間がつかなければ、だが。
■
「カブトムシってそんなに見つけられますかね?」
「そこなのか」
蝉の声が煩い、よく晴れた七月の昼だった。
思わず口から溢れた素朴な疑問が、随分と的外れな響きを持ってしまったことに遅れて気付き、真名鶴は恥じて口を閉ざす。
日の高い内から、こうして荒夜髭神社に集うのは珍しい事だった。常ならば現地集合現地解散が殆どだったが、この日は狙う獲物の都合で、少しばかり長めに事前の支度が必要だった。
1364よくある光景だ。この街では特に。
駅前に建ち並ぶ、取り壊し前の廃テナントにでも足を向ければ、森に潜む甲虫を見つけるぐらいの感覚で見つけられるだろうそれ。
よくある光景なのだ。この世界では特に。
その言葉の前に、「午前四時から午前五時の間だけ」という制限時間がつかなければ、だが。
■
「カブトムシってそんなに見つけられますかね?」
「そこなのか」
蝉の声が煩い、よく晴れた七月の昼だった。
思わず口から溢れた素朴な疑問が、随分と的外れな響きを持ってしまったことに遅れて気付き、真名鶴は恥じて口を閉ざす。
日の高い内から、こうして荒夜髭神社に集うのは珍しい事だった。常ならば現地集合現地解散が殆どだったが、この日は狙う獲物の都合で、少しばかり長めに事前の支度が必要だった。