kanamisaniwa
DONE第五回デアアイワンドロ参加作品呪文を唱えるように彼の名前を呟いた。空の民にとっては恐怖そのものだろう彼の名前を。
「デアン…」
彼は侵略者でありあまりにも強すぎる戦士であり、何より空の世界の敵だった。
それゆえに空の民は全力で彼と戦い、倒したという。当初予定していなかった、ほとんど反則じみた武器ヤーマを使って、細胞レベルで分解することでやっと止められた、と。
あまりにも強すぎる戦士だったと、封印武器の中でも特異なグロウノスと半融合しなお肉体と精神のコントロールを失わなかった空の民のなかでも極めて優れた戦士であるバザラガをしてそう言わしめた。
それなのに、そんな彼の最期の言葉は、『これで、ようやく眠れそうだ…』と、そんならしくないものだったとも。
「アドレナリンが過剰だから眠ることができなくなった、そんなことを月で言ってたっけね…まさか最期の言葉にするほど困っていたなんて…知らなかった、は卑怯だね。僕が、僕だけが、知ることができたはずなのにその努力を怠ったんだから。君は月であれだけ僕を気に掛けてくれたのに…僕はなにも返せないまま自分の事だけに精一杯であげく裏切って逃げ出して…はは、僕は本当にひどい奴だね」
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