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    kanamisaniwa

    pixivメインに二次創作(刀剣乱舞、ツイステ、グラブル、FGO等)やってます。超雑食でオリキャラ大好き病を患う腐女子です。ポイピクにはかきかけだったりネタだけの文章を投げたいです。

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    kanamisaniwa

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    第五回デアアイワンドロ参加作品

    #デアアイワンドロ

    呪文を唱えるように彼の名前を呟いた。
    空の民にとっては恐怖そのものだろう彼の名前を。
    「デアン…」
    彼は侵略者でありあまりにも強すぎる戦士であり、何より空の世界の敵だった。
    それゆえに空の民は全力で彼と戦い、倒したという。当初予定していなかった、ほとんど反則じみた武器ヤーマを使って、細胞レベルで分解することでやっと止められた、と。
    あまりにも強すぎる戦士だったと、封印武器の中でも特異なグロウノスと半融合しなお肉体と精神のコントロールを失わなかった空の民のなかでも極めて優れた戦士であるバザラガをしてそう言わしめた。
    それなのに、そんな彼の最期の言葉は、『これで、ようやく眠れそうだ…』と、そんならしくないものだったとも。
    「アドレナリンが過剰だから眠ることができなくなった、そんなことを月で言ってたっけね…まさか最期の言葉にするほど困っていたなんて…知らなかった、は卑怯だね。僕が、僕だけが、知ることができたはずなのにその努力を怠ったんだから。君は月であれだけ僕を気に掛けてくれたのに…僕はなにも返せないまま自分の事だけに精一杯であげく裏切って逃げ出して…はは、僕は本当にひどい奴だね」
    手に持っていた白百合の花束を何もない地面に…ヤーマ発動場所だと教えてもらったもののなんの跡形もないそこに置く。
    ただの自己満足だと、罪悪感から逃れるための言い訳にすぎないと知っていながら…なにせ、月の民であり生粋の戦士であったデアンが白百合が弔いの花だと認識したかどうかもわからないのだ。
    でも、それでも。何かせずにはいられなかった。
    デアンの恐怖をもたらす侵略者以外の部分を知っている空の民は自分しかいないのだから。
    「デアン…今、望み通り眠れているかい?苦しくないかい?せめて何か、体の一部だけでも見つけて月に返してあげられたらと思ったけど…本当になにも、見つけてあげられなくて…君にとっては敵地で眠ることになってしまった。申し訳ないとは思うけど、謝ることは出来ないんだ。僕も、月の侵略に対抗して戦った空の民だから…でも、でもせめて、空の民の流儀で弔いくらいはさせて欲しい…非論理的で矛盾してるって君は言うだろうけど…それでも僕は、"恐怖"以外の君を知る僕だけは、そうするべきだと思うから」
    どうしようもなく苦悩し後悔し、矛盾と知りながらも何かせずにはいられない…そんな、空の民特有の"無駄"な行為をされても、デアンは首を傾げるだけだろうなと墓すらない地面におかれた白百合を見て…その上に一つ二つ落ちた雫に気がついて。
    そしてその雫が己の目から流れたものだとやっと自覚して。

    アイザックは声をあげて泣き崩れた。
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    kanamisaniwa

    MAIKING
    三ヶ月後。
    アズール先輩からの提案で参加を申請したアジーム家雇用希望者の選抜試験当日、私はジャミル先輩、エリムさん、そして面白がってついてきたフロイド先輩(本当は諸々ド素人の私を心配してついてきてくれたのをちゃんと知ってる)と一緒に熱砂の国にあるアジーム家所有の別荘の隣に設置された試験会場控えにいた。
    エリムさん曰く、アジーム家所有の不動産の中では中規模ながら市街から遠くて使い勝手が悪く最低限の手入れしかしていなかった別荘で、確かに選抜試験をするには丁度良い物件だとか。なんなら爆発させても大丈夫ですよ、と言ったエリムさんの顔はわりとまじだった。
    そしてその別荘の隣に建てられた仮設の集合場所兼待機場所で簡単な説明を受けた。といっても事前にアズール先輩が収集してくれていた情報と内容はほぼ同じで、あえて追記するなら試験会場である別荘のあちこちにライブカメラもとい監視カメラが設置されていて、その映像はリアルタイム公開されるので別荘内の様子はもとより他の参加者の様子を逐次確認できること、そして本当に魔法でもなんでも使用可、建物への損害も免責するから全力で目標を破壊してみろ、という言葉が説明担当からあったことくらい。
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    kanamisaniwa

    DONE第五回デアアイワンドロ参加作品呪文を唱えるように彼の名前を呟いた。
    空の民にとっては恐怖そのものだろう彼の名前を。
    「デアン…」
    彼は侵略者でありあまりにも強すぎる戦士であり、何より空の世界の敵だった。
    それゆえに空の民は全力で彼と戦い、倒したという。当初予定していなかった、ほとんど反則じみた武器ヤーマを使って、細胞レベルで分解することでやっと止められた、と。
    あまりにも強すぎる戦士だったと、封印武器の中でも特異なグロウノスと半融合しなお肉体と精神のコントロールを失わなかった空の民のなかでも極めて優れた戦士であるバザラガをしてそう言わしめた。
    それなのに、そんな彼の最期の言葉は、『これで、ようやく眠れそうだ…』と、そんならしくないものだったとも。
    「アドレナリンが過剰だから眠ることができなくなった、そんなことを月で言ってたっけね…まさか最期の言葉にするほど困っていたなんて…知らなかった、は卑怯だね。僕が、僕だけが、知ることができたはずなのにその努力を怠ったんだから。君は月であれだけ僕を気に掛けてくれたのに…僕はなにも返せないまま自分の事だけに精一杯であげく裏切って逃げ出して…はは、僕は本当にひどい奴だね」
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    kanamisaniwa

    MAIKING晴道+息子(吉平)+息子(吉昌)『アー、てすてす!こちら安倍晴明の座経由で通信中!安倍吉平の弟吉昌ですがー!兄さーんまたへんな男ひっかけてないよなー?』
    「……突然の情報過多に色々と追い付けない僕マスター。誰かヘルプ…!!」

    ふいにノウム・カルデアの食堂に現れた五星が描かれた掌大の人形の紙がそんな声を発して、立夏は盛大に頭を抱えた。
    いきなり未召喚ならぬ未実装の英霊から通信が飛んできたことも異常だし、それが安倍晴明の息子で吉平の弟というのも驚くしかない。そして、その紙が飛んできた食堂の状況もまた悪かったのがいただけない。

    「んお?なんだなんだまた日本の魔術師かぁ?」
    「こいつらやたら紙を使う術が好きだな。男なら正々堂々直接乗り込んでこいよー」
    「ひっく!そんな紙切れ気にするな!ほら飲め吉平!シンシン秘蔵の酒だぞー!」
    「んー、…ごくん」

    カルデアきっての酒好き達が集合し、やんややんやの飲み会の真っ最中だった。


    「おわぁぁっ!吉平さんもうやめよ?!顔真っ赤だから!!ってこれ奇奇酒?!誰が持ち出したの?!」
    『…まあ、予想の範囲内だが。おーい、カルデアのマスター!父上か道満法師様は呼べないか?』
    「ついさっきま 1690

    nicola731

    TRAINING晴道の練習。明るくポップな話とか、優しくて可愛い話とか思い付けたら、良いなって思ったんですよホント・・・。

    こあら「球体関節人形!ちょっと難しいけどまともな晴明さんを練習したいから考えてみるぞ!」
    企画こあら「はいネタ」
    脚本こあら「はい書いた」
    こあら「なんでだよ!なんでこんな感じなんだよ!」
    晴明はついうっかり道満を殺してしまったので作り直すことにした。術比べで事故死してしまった道満の残骸を集め、自宅に持ち帰った晴明は自分で組んだ人形にそれを納めた。名を三度呼び、魂を吹き込めば血が通う。
     出来上がったのは完璧な人形だった。可愛い弟子の生き写し。寸分違わぬ麗しい拵え。晴明は暫く自画自賛していた。だが現在進行形の問題は、それでは解決しない。
    「うーん、余った」
     何故か部品が余った。腑が幾らか、肉が幾らか、皮が幾らか、髪が幾らか余った。はみ出た分を切り取ったら余った。骨は全て外して綺麗に取ってある。腹が減ったら舐める用に。
     仕方が無いので人形を作成する際に出た端材を使い、七歳程度の大きさでまた別に人形を拵えた。足りていない部品は輝石を削り出して充てがった。
     出来上がったのは輝くばかりの美童だった。
    「うーん、端材だけで傑作が出来てしまった。さすが私」
     子供の顔は現在固定している自分の顔に寄せてみた。絹のような肌に映える濡羽色の髪。所々に月白の色が混じっていて雲母のようだった。魂を調達するのは面倒なので自分の尾を一本を裂いて入れてみた。己の中では比較的素直で大人しい側面な 1652