nanana
DONEしのちゃん不在の信乃敦。しのちゃんの目線が自分のものよりも高いことに気が付いたコウ様がえぶりを呼び出して飲む話。
むじょうけんにこうふく(信乃敦) いつかそんな日が来るとはわかっていた。成長は喜ばしいことだ。でも突然にそれがきてしまうと心の準備が。いや別にそれを咎めているわけではないし悪いなんて一つも言ったことがない。成長痛、はいはい、成長痛ね、生憎だが俺はそれを経験したことがなくてな。だから何回も言っているが悪いなんて一言も言ってはいない。
要約すると信乃に身長を抜かされて悔しい、という話をコウから延々と聞かされている日付の変わる十分前。テーブルの上には数本空になったアルコールと、冷蔵庫にある食材で適当に作ったつまみ。こんなもの酔っぱらいの戯言だと思われるかもしれないが、この男はいたって素面である。酒を飲んでいないわけではない、ただこの男は酷くアルコールに強いだけなのだ。こんなティーンみたいな可愛らしい顔をしておきながら。
1770要約すると信乃に身長を抜かされて悔しい、という話をコウから延々と聞かされている日付の変わる十分前。テーブルの上には数本空になったアルコールと、冷蔵庫にある食材で適当に作ったつまみ。こんなもの酔っぱらいの戯言だと思われるかもしれないが、この男はいたって素面である。酒を飲んでいないわけではない、ただこの男は酷くアルコールに強いだけなのだ。こんなティーンみたいな可愛らしい顔をしておきながら。
nanana
DONE年越し初詣に行く福岡支部のみなさん。しの→あつひで。
田舎者なので年越し初詣描写は全て捏造。
指先に纏うオブラート(信乃敦) 人の話し声、肩をぶつけながら歩かねばならない群衆の足音、それから暖を取るために燃やされている焚火に、屋台の呼び込みの声。それらが合わさって響くはずの喧騒が、何故か鼓膜の表面を撫でて通り過ぎているかのようにどこか遠くへと聞こえていた。それよりも大きく響いていたのは己の心音。繋いで手から伝わる熱に眩暈がしそうになって、はたして自分がまっすぐ歩けているのかわからないほど。
吐き出す息が熱くて、息を吐くたびに零れる白いもやが浮かれた感情のようで、吐くたびに少しだけ落ち着いてくる自分の恋心。
己の手を引く大きな背中は、きっとこんな熱視線なんか一つも感じていないだろうと思ったらほっとするようで少し悔しくもあった。
1969吐き出す息が熱くて、息を吐くたびに零れる白いもやが浮かれた感情のようで、吐くたびに少しだけ落ち着いてくる自分の恋心。
己の手を引く大きな背中は、きっとこんな熱視線なんか一つも感じていないだろうと思ったらほっとするようで少し悔しくもあった。
nanana
DONE信乃敦未来捏造同棲話。しのちゃんが研修医一年生。
懐かしき匂い(信乃敦) 夢を夢と認識することは容易いことではないが、それでも時折これは夢であると思いながら見る夢もある。
そういうときの夢は視界は少し霞がかってぼやけ、耳に入る音は少し遠い。触れたり、何かを食べたりしたことは無い。大抵はそれをする前に夢が覚めてしまうのだ。
今、懐かしい夢を見ている、と敦豪は自覚していた。
真っ白い壁に飾られた沢山のキャラクターたち。性別年齢様々な子供たちで溢れ、時に騒がしく、時に恐ろしいほどに静まり返ることもあるその場所。幼い時に何度も目にした小児科外来。
もう何年も目にしていないその風景に敦豪はゆっくりと目を細める。鼻を擽るのは病院独特の消毒液と、それからバニラにも似た甘い何かが混ざり合った小児科独特の香り。
1487そういうときの夢は視界は少し霞がかってぼやけ、耳に入る音は少し遠い。触れたり、何かを食べたりしたことは無い。大抵はそれをする前に夢が覚めてしまうのだ。
今、懐かしい夢を見ている、と敦豪は自覚していた。
真っ白い壁に飾られた沢山のキャラクターたち。性別年齢様々な子供たちで溢れ、時に騒がしく、時に恐ろしいほどに静まり返ることもあるその場所。幼い時に何度も目にした小児科外来。
もう何年も目にしていないその風景に敦豪はゆっくりと目を細める。鼻を擽るのは病院独特の消毒液と、それからバニラにも似た甘い何かが混ざり合った小児科独特の香り。