MondLicht_725
DONE「GEGO DIG. SUMMER 2」の展示品でした。見てくださりありがとうございます😊
呪専時代の、これから始まる夏五のお話。
【夏五】通り雨 ――どうして、こうなった。
夏油は頭を抱えた。だから寄り道なんてしないでさっさと帰ればよかったのだと隣を睨む。憎たらしい同行者は夏油とは正反対に、嬉々として覗き込んでいる。この状況を楽しんでいる。バカ、よさないか。窘めたところで聞くはずもない。
さっさとひとりで帰ればよかった。あるいは最初からひとりでいいと強く断ることができていれば。
どちらにしろ、後悔しても今更遅い。
唯一の出口は塞がれ、外に出ることはできない。ただ向こう側の「彼ら」が、好奇心旺盛な見学者の存在に気づくか、さっさと終わらせてくれるのを待つしかなさそうである。
今日の任務は、呪詛師から取り返した盗まれた一級呪物をもともと保管していた寺へ返すという、珍しく単純かつ簡単なものだった。本来任せるはずの下級生が、別の任務が長引いて帰ってきていなかったので、たまたま残っていた夏油に白羽の矢がたったのである。先方との約束を反故にするわけにはいかないという理由だ。
2718夏油は頭を抱えた。だから寄り道なんてしないでさっさと帰ればよかったのだと隣を睨む。憎たらしい同行者は夏油とは正反対に、嬉々として覗き込んでいる。この状況を楽しんでいる。バカ、よさないか。窘めたところで聞くはずもない。
さっさとひとりで帰ればよかった。あるいは最初からひとりでいいと強く断ることができていれば。
どちらにしろ、後悔しても今更遅い。
唯一の出口は塞がれ、外に出ることはできない。ただ向こう側の「彼ら」が、好奇心旺盛な見学者の存在に気づくか、さっさと終わらせてくれるのを待つしかなさそうである。
今日の任務は、呪詛師から取り返した盗まれた一級呪物をもともと保管していた寺へ返すという、珍しく単純かつ簡単なものだった。本来任せるはずの下級生が、別の任務が長引いて帰ってきていなかったので、たまたま残っていた夏油に白羽の矢がたったのである。先方との約束を反故にするわけにはいかないという理由だ。