たこのまくら
DONEいい夫婦の日記念、熟年夫婦な文伊のお話年齢は山田先生と同じくらいで
未来妄想ゆえ捏造設定もあり
※高砂住吉の翁媼とは、結納の席の掛け軸によく描かれてる老夫婦のこと
あいおいてせんせぇ、と呼ぶ舌っ足らずな可愛い声が耳に届き、伊作は薬研を碾く手を止めて顔を上げた。
「やあ、いつものお使いだね」
常に開きっぱなしの戸に通じる土間に目をやれば、五、六歳程の幼子がじっと伊作を見上げている。
すっかりここの常連と化している子どもの目的は、今更問うまでもない。
伊作は薬研を脇にやって立ち上がると、注文の入った品を保管している棚に手を伸ばした。
両手のひらに一抱えほどの薬の入った布包みを取り、代金と引き換えに子どもの手の上にそっと優しく置いてやる。
手渡されたものをさも大事そうに抱え込み、ありがとうございます、と子どもがぺこりとお辞儀をした。
十日に一度、こうしてこの子どもは伊作から薬を受け取りにやってくる。
4231「やあ、いつものお使いだね」
常に開きっぱなしの戸に通じる土間に目をやれば、五、六歳程の幼子がじっと伊作を見上げている。
すっかりここの常連と化している子どもの目的は、今更問うまでもない。
伊作は薬研を脇にやって立ち上がると、注文の入った品を保管している棚に手を伸ばした。
両手のひらに一抱えほどの薬の入った布包みを取り、代金と引き換えに子どもの手の上にそっと優しく置いてやる。
手渡されたものをさも大事そうに抱え込み、ありがとうございます、と子どもがぺこりとお辞儀をした。
十日に一度、こうしてこの子どもは伊作から薬を受け取りにやってくる。