穂山野
DONE【新世紀中学生】『菜園』マックスの家にはトマトを植えたプランターがあるだろうって話を以前フォロワーさんとしたことがあり、そのとき書こうと思っていた話です。新世紀中学生、わちゃわちゃ楽しく生きていてくれたらいいな。
菜園マックスが調度品や家具なんかにこだわりを持って生きていることは部屋を見ればわかるのだが、料理なんかも結構凝ったものを作ったりするのは知っている。
ジャンクショップの喫茶コーナーでアイスティーを手渡しながら
「ボラー、体というのは食べたものでできているんだ」っていう。
「まあ六花とか洒落た朝飯食ってるって話じゃん。だからあんな感じなんだとしたらまあ合ってんじゃない?」
六花は可愛らしい。ちょっと面倒なところはあるけど。まあそれをいえば裕太も可愛いし、内海もまあそう。
「そういうことではない」
あ、これ面倒なやつだ、ととりあえず椅子に座り直す。ていうか当たり前みたいにカウンターの中にいるのなんで?ママさんは?
「ボラーがいってるのは黄色い草を食べたら黄色くなりました、みたいなことだろう」
3593ジャンクショップの喫茶コーナーでアイスティーを手渡しながら
「ボラー、体というのは食べたものでできているんだ」っていう。
「まあ六花とか洒落た朝飯食ってるって話じゃん。だからあんな感じなんだとしたらまあ合ってんじゃない?」
六花は可愛らしい。ちょっと面倒なところはあるけど。まあそれをいえば裕太も可愛いし、内海もまあそう。
「そういうことではない」
あ、これ面倒なやつだ、ととりあえず椅子に座り直す。ていうか当たり前みたいにカウンターの中にいるのなんで?ママさんは?
「ボラーがいってるのは黄色い草を食べたら黄色くなりました、みたいなことだろう」
穂山野
DONE【マッキャリ】2019.2 かべうちに置いたもの。診断メーカーのお題「どうしてこんなにも」
どうしてこんなにもなにをしていても気にはなるのだから仕方がない、という諦観をキャリバーには抱く。
ボラーもヴィットも気にはなるのだが、それぞれ「大丈夫だな」というところに帰着するので余程深刻でない限りはそっとしておく。
それが適度な距離感だと思う。それぞれ大人であるのだし。
この身体年齢に見合うような記憶も記録も私たちは持っている。
ツツジ台に降りてきた私たちが裕太や六花、内海と関わる中で得たものは「自分でも自分が思うようにならない」ことや「自分で答えが出せないこと」があるということだった。
今まではそういったことはなかったのだ。
人であることを学習して記憶していく過程で「気にしなくていい」ということができなくなった。
初めてのことだ。
725ボラーもヴィットも気にはなるのだが、それぞれ「大丈夫だな」というところに帰着するので余程深刻でない限りはそっとしておく。
それが適度な距離感だと思う。それぞれ大人であるのだし。
この身体年齢に見合うような記憶も記録も私たちは持っている。
ツツジ台に降りてきた私たちが裕太や六花、内海と関わる中で得たものは「自分でも自分が思うようにならない」ことや「自分で答えが出せないこと」があるということだった。
今まではそういったことはなかったのだ。
人であることを学習して記憶していく過程で「気にしなくていい」ということができなくなった。
初めてのことだ。
穂山野
DONE【新世紀中学生】2019.2に発行されたキャリバーアンソロに寄稿したもの
巡る長い夏が終わったあとの世界を俺たちは知らない。
すべてが終わった日、雪が降ったことはあとで知った。
皆、元の暮らしに戻り小さな齟齬をすり合わせたりしながらまた日々を紡ぐ。
「もう二度と逢えない」と皆それぞれが思い、手を振ったはずだった。
けれどまた俺たちはこの街にいて、冬が終わっていくのを見届けている。
桜って偉いわよねえ、ママさんがいう。
「ちゃんと春になったら咲くんだもん」
相変わらず煎餅を齧りながらのんびりした口調で。
少し離れた公園の桜の蕾はもうほころび始めていて、そこを通るたびママさんの言葉を思い出す。
マックスはときどき俺たちに食事を振る舞う。薄々感じてはいたけど凝り性だ。
ちょっといい食材を使うとか、ちょっといい塩とかそういうことにこだわる。俺にはよくわからないけどマックスには面白いんだろうな。
2632すべてが終わった日、雪が降ったことはあとで知った。
皆、元の暮らしに戻り小さな齟齬をすり合わせたりしながらまた日々を紡ぐ。
「もう二度と逢えない」と皆それぞれが思い、手を振ったはずだった。
けれどまた俺たちはこの街にいて、冬が終わっていくのを見届けている。
桜って偉いわよねえ、ママさんがいう。
「ちゃんと春になったら咲くんだもん」
相変わらず煎餅を齧りながらのんびりした口調で。
少し離れた公園の桜の蕾はもうほころび始めていて、そこを通るたびママさんの言葉を思い出す。
マックスはときどき俺たちに食事を振る舞う。薄々感じてはいたけど凝り性だ。
ちょっといい食材を使うとか、ちょっといい塩とかそういうことにこだわる。俺にはよくわからないけどマックスには面白いんだろうな。
穂山野
DONE【マッキャリ】+【新世紀中学生】2019.2 診断メーカーのお題などで書いたSS6本をまとめたもの
色彩キャリバーんちさあ、猫が家主って感じだったぜ、とボラーがアイスミルクティーにガムシロップを入れながら話す。
ふーん、とさして興味のなさそうにとりあえず相槌だけ打つヴィットの声。
「お前もうちょっとなんかあんだろ」ボラーはそうやっていつもヴィットの相槌に同じ言葉を返す。
「マックス、もう一個ガムシロ」と手を伸ばすボラーに自分のアイスコーヒーについてきたガムシロップを渡す。
「どんな部屋だった」
その質問にチラリと視線だけを投げ、
「まあ、おおかた想像通りって感じ。猫のものはキチンとしててさ、新しくてキレイにしてんだけど他はなんもねえ感じの」
寝るためのベッド。
食べるための食器。
ガランとしたキッチンは必要最小限ですらない。
9359ふーん、とさして興味のなさそうにとりあえず相槌だけ打つヴィットの声。
「お前もうちょっとなんかあんだろ」ボラーはそうやっていつもヴィットの相槌に同じ言葉を返す。
「マックス、もう一個ガムシロ」と手を伸ばすボラーに自分のアイスコーヒーについてきたガムシロップを渡す。
「どんな部屋だった」
その質問にチラリと視線だけを投げ、
「まあ、おおかた想像通りって感じ。猫のものはキチンとしててさ、新しくてキレイにしてんだけど他はなんもねえ感じの」
寝るためのベッド。
食べるための食器。
ガランとしたキッチンは必要最小限ですらない。