januar00kate99
CAN’T MAKEめっしせー関連の書けなかった文たちを供養します3つほどある
書かなかった文たち供養①パラドックスと竜たちの関係性は周囲からどう見えていたのか? を書こうと思ったやつ
思い返してみると、Z-ONEの記憶の中におけるパラドックスは、その始まりの一秒から、竜と共に在ったのだった。
「ほら、彼だよ」とアンチノミー(当時はまだ本名のジョニーと名乗っていた)が示す先には、傾いた摩天楼の群れを背景に、闇色の竜が地面に黒々と影を落としていた。風が強い日だった。舞い降りた竜が落とす影から、風に靡く長い金髪、翻る白衣が現れ、そうしてZ-ONEはパラドックスと出会ったのだ。
そのとき竜は、自らの主人と見知らぬ人間が言葉を交わすのを、赤い瞳でじっと見ていた。あるじに害なせば灼いてやるぞ、などと竜が考えていたのかどうかは、Z-ONEにはわからなかった。ただ、そういう敵意を隠すだけの聡さを竜が持ち合わせていたことは、なんとなしに理解できた。そしてその印象は、彼らとの邂逅が遥か時の彼方の出来事になった今でも、Z-ONEの意識の深層に残っている。
3731思い返してみると、Z-ONEの記憶の中におけるパラドックスは、その始まりの一秒から、竜と共に在ったのだった。
「ほら、彼だよ」とアンチノミー(当時はまだ本名のジョニーと名乗っていた)が示す先には、傾いた摩天楼の群れを背景に、闇色の竜が地面に黒々と影を落としていた。風が強い日だった。舞い降りた竜が落とす影から、風に靡く長い金髪、翻る白衣が現れ、そうしてZ-ONEはパラドックスと出会ったのだ。
そのとき竜は、自らの主人と見知らぬ人間が言葉を交わすのを、赤い瞳でじっと見ていた。あるじに害なせば灼いてやるぞ、などと竜が考えていたのかどうかは、Z-ONEにはわからなかった。ただ、そういう敵意を隠すだけの聡さを竜が持ち合わせていたことは、なんとなしに理解できた。そしてその印象は、彼らとの邂逅が遥か時の彼方の出来事になった今でも、Z-ONEの意識の深層に残っている。
januar00kate99
DOODLEアポとピアノの話※アポ合流直後の老めっしせーの話
※アポがピアノを弾ける設定
※パラが歌える設定
※架空の曲が出てきます。
※以前別所にあげた小話と設定を共有している部分があります。
音階は消えず そこには、一台のピアノがあった。
幻ではなかろうか、とアポリアはもう一度、よくよく部屋の中を覗き込んだ。明かりが落ちた室内に通路からの光が差し込んで、黒く滑らかな楽器の表面を浮かび上がらせている。
それはほんとうにピアノだった。
アポリアは我知らず、部屋の中に足を踏み入れていた。ピアノなんて、もう随分見ていなかったからだ。
アポリアがこの部屋を見つけたのは偶然だった。ここに慣れてもらうためにも散策してきたらどうですか、Z-ONEにそう言われて、足の赴くままにアーククレイドル内を歩いていた。固く閉ざされた扉が延々と並ぶ通路を進むうち、アポリアはひとつだけぽっかりと口を開ける扉に気づいた。そうして覗き込んでみれば、幼い頃に慣れ親しんだ楽器がそこにあったというわけだった。
4405幻ではなかろうか、とアポリアはもう一度、よくよく部屋の中を覗き込んだ。明かりが落ちた室内に通路からの光が差し込んで、黒く滑らかな楽器の表面を浮かび上がらせている。
それはほんとうにピアノだった。
アポリアは我知らず、部屋の中に足を踏み入れていた。ピアノなんて、もう随分見ていなかったからだ。
アポリアがこの部屋を見つけたのは偶然だった。ここに慣れてもらうためにも散策してきたらどうですか、Z-ONEにそう言われて、足の赴くままにアーククレイドル内を歩いていた。固く閉ざされた扉が延々と並ぶ通路を進むうち、アポリアはひとつだけぽっかりと口を開ける扉に気づいた。そうして覗き込んでみれば、幼い頃に慣れ親しんだ楽器がそこにあったというわけだった。
januar00kate99
MAIKINGあの未来におけるとある写真家の喪失と再生※主人公:写真家の男性
※主人公と生前めっしせいが関わる話
※書けているところまで(アンチノミー(ジョニー)の話がメイン)
※ジョニーと遊星(ゾーン)が辛い目に遭います
※死人が出る(残酷な表現あり)
※オリジナルキャラがたくさん出る
※元気な時に読んでください
とある写真家の話 ある写真家の話
よく晴れた午前、私は妻と共に桜並木の写真を撮りに来ていた。仕事でも写真を撮っているのに、休みの日にも撮ろうだなんて、本当に写真が好きなのね。妻はそう笑って私についてきた。
丘の上の大きな公園、ざあっと風が吹いて、枝々から小さな薄桃色をさらっていく。仕事ではデュエルの写真ばかりだけど、今日はきみの写真もたくさん撮ろう。私はそう言って、桜並木を背景に、妻を写真に収めた。その日私が持っていたカメラは、撮影した写真がすぐに印刷されるタイプで、私は撮ったばかりの写真を確認した。
白い枠の中に、青空と、春霞の空気と、舞い散る桜と、笑う妻──そして、空を征く機械の群れ。のどかな春の日に不釣り合いな、非自然的な白と、青と、橙の機械たち。それらに気づいた花見客たちから、どよめきが広まり始めていた。
9049よく晴れた午前、私は妻と共に桜並木の写真を撮りに来ていた。仕事でも写真を撮っているのに、休みの日にも撮ろうだなんて、本当に写真が好きなのね。妻はそう笑って私についてきた。
丘の上の大きな公園、ざあっと風が吹いて、枝々から小さな薄桃色をさらっていく。仕事ではデュエルの写真ばかりだけど、今日はきみの写真もたくさん撮ろう。私はそう言って、桜並木を背景に、妻を写真に収めた。その日私が持っていたカメラは、撮影した写真がすぐに印刷されるタイプで、私は撮ったばかりの写真を確認した。
白い枠の中に、青空と、春霞の空気と、舞い散る桜と、笑う妻──そして、空を征く機械の群れ。のどかな春の日に不釣り合いな、非自然的な白と、青と、橙の機械たち。それらに気づいた花見客たちから、どよめきが広まり始めていた。