mkn
DONE星を見に行く零くんと凪砂くんのお話。同じ内容の小説をpixivに上げております→ https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=21623523
Heartbeat of the stars 最初の一言はほんの気まぐれだった。星について語る凪砂の横顔があまりにもキラキラしていて、この空高く光る惑星に想いを馳せる彼の願いを叶えてあげたいと思った。
「じゃあ、一緒に星を見に行くかや?」
そう言うとぽやっと見上げる彼の表情が見たことないくらい驚いていて、こんな顔も出来るんだと心の中で思った。
○
時は一時間前に遡る。つむぎにオススメされた『星占いから見る経営術』というお世辞にも面白くも役にも立たない胡散臭い本を返しにブックルームに立ち寄った時だった。
時刻にして十九時を過ぎた頃。あと三十分ほどで閉館するブックルームは既にスタッフの姿も来場者もおらず、しんと静まり返っていた。
「青葉くんのやつめ……」
6571「じゃあ、一緒に星を見に行くかや?」
そう言うとぽやっと見上げる彼の表情が見たことないくらい驚いていて、こんな顔も出来るんだと心の中で思った。
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時は一時間前に遡る。つむぎにオススメされた『星占いから見る経営術』というお世辞にも面白くも役にも立たない胡散臭い本を返しにブックルームに立ち寄った時だった。
時刻にして十九時を過ぎた頃。あと三十分ほどで閉館するブックルームは既にスタッフの姿も来場者もおらず、しんと静まり返っていた。
「青葉くんのやつめ……」
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DONELa Mortの世界観をお借りした死神パロ。少しだけストーリーの内容も含みます。零くんと凪砂くんの空気感が好きです。同じ内容の小説をpixivに上げております→ https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=19242218
午後五時の朝食 そろそろ、人間界でいう日没の時間になるのだろうか。厳密にはこの「世」に日没という概念はなく、二十四時間毎日薄暗い世界で雪がしんしんと降り続いている。自分の仕事は墓守をするだけの単純な作業だが、それ以外はずっと書庫に箱詰めで本を読み耽っていた。
寂しいこの世界で、楽しい事はなかなか見つからない。外の世界の事をたくさん書いてあるここが自分の楽園だった。知らない事を知る事はとてもわくわくする。だからこそ、凪砂はこの喜びを共有したかった。一冊の本を手に取ると急いで書庫を飛び出した。
古城の屋敷は歩くだけで音が鳴り響く。この屋敷の者たちはオルガンを演奏したり、儀式を行ったり、様々な自分の役割を行うのだが、それもしばらくは見ていない。何年か前に訪れた人間の少年が最後の訪問者で、ここに訪れる者も随分減った。あの時から消沈していた零に少しでも喜んで欲しかった。
2600寂しいこの世界で、楽しい事はなかなか見つからない。外の世界の事をたくさん書いてあるここが自分の楽園だった。知らない事を知る事はとてもわくわくする。だからこそ、凪砂はこの喜びを共有したかった。一冊の本を手に取ると急いで書庫を飛び出した。
古城の屋敷は歩くだけで音が鳴り響く。この屋敷の者たちはオルガンを演奏したり、儀式を行ったり、様々な自分の役割を行うのだが、それもしばらくは見ていない。何年か前に訪れた人間の少年が最後の訪問者で、ここに訪れる者も随分減った。あの時から消沈していた零に少しでも喜んで欲しかった。