KNever2tyo
MAIKINGビスケットの妖精と白狼🧚ガララギや🐺ジャクがが出てくるお話。おおむね気分転換に書いたやつ。
ジャラっぽさはないけど、ジャラと言い張る何かです。ビスケットの妖精と白狼
最近、狼をよく見る。
獣の王と形容したくなるほど大きな身体をした白い狼で、尻尾と耳の先だけが黒い。
その狼には不思議な風格があった。群れることを良しとせず、いつも一匹でいる癖にか弱い草食獣や幼い子どもの動物を襲うことはなかったし、森を害そうとする人間に立ち向かうことすらあった。
事実、森に住む動物たちは彼を『王』と定めたらしく、やんちゃなキツネもイタズラ好きなウサギも狼を目にすると、たちまち頭を垂れて大人しくなるのだ。
その上、彼はひどく利口な性質らしく、森を無闇矢鱈と荒らしたり、ラギーたち妖精が住む集落を襲ったりもしなかった。
することと言えば、満月を思わせる冷たい金色の瞳で妖精の集落を見つめること、それから、ラギーが仲間と離れてひとり森を歩いているとどこからともなく現れて見守ること。それぐらいだ。
仲間の妖精たちは『何を考えているかわからない』『どうせ本性は残酷なのよ』と悪しざまに語っていたが、ラギーはそうは思わなかった。
というのも、狼はラギーを助けてくれたことがあったのだ。
陽気の良い春のある日、仲間と離れてひとり森でベリーを摘ん 6976