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TRAINING悟チチ版ワンドロワンライ『天下一悟チチ武道会』第3試合 『春 〜Spring〜』
#悟チチ版ワンドロワンライ
#天下一悟チチ武道会
#Gochichi60minOneDrawWriteChallenge
#悟チチ #Gochichi茄子に胡瓜にトマト。アスパラ、カブ、ピーマン、春菊―――。
春に種まき、ないしは苗植えを行う作物のことを考えながら、チチは起こされて湿り気を含んだ独特の匂いのする土の香りを胸いっぱいに吸い込んだ。
トラクターで掘り起こされた土は黒々としていて、春の陽射しをぐんぐんと吸いこんでいるのが分かる。この、畑の「目覚める」様子がチチはとても好きだ。
もちろん冬にも幾つか作物は育てていたが、やはり秋までに比べれば幾分縮小させていたし、この春に備えて手入れをし、休ませていた畑もある。
雑草などで作った堆肥を含んだ土に器具を入れてひっくり返すときにわくわくすると言うと夫である悟空に笑われてしまったが、それはマイナスな意味ではなく「チチらしい」という明るくてどこか嬉しそうなそれであった。
もう二度と会うことは叶わないと思っていた夫が現世の人となり、チチが生業として選んだ「農業」に加わったことで、孫家の農業はぐんと幅を広げた。
トラクターなどを使って畑を耕していたとはいえ、パオズ山の土地はその内に大小様々な土をはらんでいることも多いし、また土も農作物を育てるにはまず土を育てて整えて 1425
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TRAINING悟チチ版ワンドロワンライ『天下一悟チチ武道会』第2回戦 お題『マフラー』
#悟チチ版ワンドロワンライ
#天下一悟チチ武道会
#Gochichi60minOneDrawWriteChallenge #悟チチ #Gochichi年齢を重ねてきたことで、ようやく見えてきたことがある。
自分の中に流れる戦闘本能については純血のサイヤ人のそれということでどうしようもないとしても、闘いがない日常でもそれなりに生きていけて、それを悪くないと思えるのは「地球人」としての自分の一面で、近しい者に危害が加わることは良しとはしないあたり、色濃いことだ。
穏やかな昼下がり。
最近自分から望んでやるようになった農作業も終えての、自由時間。悟空には瞬間移動があるので西の都にでも行ってベジータと組手などすることも多いのだが、この日はパオズ山の自宅に居る。
「ん。大丈夫だべ、ビーデルさ。ちゃあんと出来てるだよ」
「本当ですか…?」
「んだ。やり始めたばかりのおらよりも、ずうっと上手だ」
この時間は窓から入ってくる陽光で陽だまりになるソファに、ビーデルとチチが並んで座っている。
ビーデルの手には鈎針が握られていて、彼女はいつもは勝気な眉を少しばかりハの字にしながら手を動かし、ソファ前のテーブルの上に乗せられた籠の中の紫の毛糸玉がゆっくりと回る。編み物をしているのだ。
ビーデルは悟飯のハイスクールのクラスメイトだが、それ 1835
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TRAINING悟チチ版ワンドロワンライ『天下一悟チチ武道会』第1試合 『空』
#悟チチ版ワンドロワンライ
#天下一悟チチ武道会
#Gochichi60minOneDrawWriteChallenge
#悟チチ #Gochichiチチは亀仙流の使い手であり、その武は亀仙人も認める達人の域であった。
まぁ今は孫もいる身であり、全盛期と比べればゆるやかに力量は落ちてはいるがちょっとした暴漢をこらしめるくらいは未だに朝飯前のことだ。
とはいえ、チチは気は読めないし、気弾も打てない。夫や子供達が得意とするかめはめ波も打てないし、舞空術も使えない。
舞空術については、悟飯からそれを学ぶ際に一緒にできるようになろうとねだらた。それよりもっと前には、悟天が生まれて少し落ち着いたころによければと、悟飯からも舞空術が使えるようになることを勧められたこともある。
だがチチは穏やかに辞退した。
舞空術は確かに身に着けることができれば便利だろうが、気を感じる、気を読むなどのセンスはどうも自分にはないと思ったし、夫が遺した筋斗雲があればチチだって空を移動できる。
子供達はチチのそれに少し残念そうであったけど納得もしてくれたことがありがたかった。
筋斗雲に乗って、空を行く。
朝はまだ少しひんやりした空気の中。昼は、眩しい陽射しの中。夜は満点の空を見られる。
それが自分の身ひとつでできれば、解放感はひとしおかもしれ 1609